【Science News】C9orf72変異による核膜孔複合体異常がALS・FTD発症に関与:Nature論文要約(マイキャッチ付)

米国の研究チームが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および前頭側頭型認知症(FTD)の主要な原因遺伝子であるC9orf72遺伝子反復配列異常が、神経細胞の核膜孔複合体(nuclear pore complex: NPC)の機能障害を引き起こすことをマウスモデルで解明しました。C9orf72変異マウスでは核膜孔の構造異常が早期から観察され、核内外の分子輸送が攪乱されることが示されました。

特に、核内輸送障害が運動ニューロン変性の進行と密接に関連しており、ALS・FTDの発症メカニズムの中心病態としてNPC機能不全が浮上しました。この知見は新たな治療標的探索につながる可能性があります。

出典:Nature (2025年6月), 論文リンク

【マイキャッチ】

ALS・FTDにおけるC9orf72病態はこれまでRNA毒性やペプチド異常に注目が集まっていましたが、核膜孔という細胞構造自体の機能障害が直接関与するメカニズムは非常に興味深い展開です。核膜孔複合体は多様な神経疾患の共通病態に関わる可能性があり、今後の創薬標的の広がりにも注目したいと思います。

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この記事を書いた人

大学院修了後、米国トップ研究病院に留学し本格的に治療法・治療薬創出に取り組み、成功体験を得る。その後複数のグローバル製薬会社に在籍し、研究・ビジネス、そしてベンチャー創出投資家を米国ボストン、シリコンバレーを中心にグローバルで活動。アカデミアにて大学院教員の役割も果たす。

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