【US研究留学とキャリア形成の多様さシリーズ①】アメリカで研究を始める前に知っておきたい3つのこと

アメリカの研究室で研究留学を始める――それは多くの若い研究者にとって、新たな成長と挑戦のスタートラインです。ただ、アメリカの研究文化・価値観・日常の進め方は、日本や他国とかなり異なる部分も多くあります。これから初めてアメリカで研究に取り組む方へ向けて、事前に知っておくと役立つ3つの視点をお伝えします。

目次

① 「データを出す」ことの意味が違う

アメリカでは、データを出すとは「まず事実を出して議論の材料にする」ことです。失敗やネガティブデータも重要な情報源と捉えられます。まず手を動かし、早く現象を観察し、次の仮説を立てる流れが重視されます。成功だけを目指すのではなく、失敗も含めて積極的に実験し、その過程を共有することが評価されます。

② 自分の考えを積極的に発信する文化

PI(指導教員)やラボミーティング、セミナーでは「自分の考えを今どう整理しているか」を積極的に言葉にすることが求められます。完璧でなくても構いません。途中段階の仮説・疑問・考察をオープンに話す姿勢が高く評価されます。

③ 研究は「個人競技+チーム競技」

自分のプロジェクトは自分が主体的に進めますが、他のメンバーと知識や技術をシェアし合う文化が根付いています。共同実験・技術指導・データ解釈の議論など、積極的なコラボレーションは日常的に行われます。お互いを高め合う中で研究全体が加速します。

【ひとこと】

最初は文化の違いに戸惑うかもしれませんが、アメリカの研究現場では「自分の考えを整理し発信する力」が成長の核になります。私自身も現地で学んだのは、正しさよりも「現時点の考えを明確に言葉にする」ことの大切さでした。積極的に発言し、議論し、学び続ける姿勢が新しい道を拓きます。

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この記事を書いた人

大学院修了後、米国トップ研究病院に留学し本格的に治療法・治療薬創出に取り組み、成功体験を得る。その後複数のグローバル製薬会社に在籍し、研究・ビジネス、そしてベンチャー創出投資家を米国ボストン、シリコンバレーを中心にグローバルで活動。アカデミアにて大学院教員の役割も果たす。

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