2025年6月– date –
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【Science News】食道扁平上皮がん発症における高変異細胞の長期潜伏メカニズムを解明:Cancer Discovery要約(ひとこと付)
2025年6月号のCancer Discovery誌に掲載された最新研究により、食道扁平上皮がん(ESCC)の発症過程において、多数のドライバー変異を獲得した高変異細胞が長期間にわたり潜伏状態(休眠)を維持し、その後にがん化へ移行する仕組みが明らかになりました。... -
Rare & Pediatric Disease News Vol.2:日本の小児希少疾患創薬はどこまで追いつけるのか?
– PRV終了後の世界で、グローバルと比較した課題と展望 – 2024年に米国FDAの「小児希少疾患 優先審査バウチャー(PRV)」制度が終了し、世界的に小児希少疾患領域のイノベーションをどう維持するかが議論の的となっています。シリーズ第1回では米国の制度... -
がん治療薬ニュース速報:Datopotamab deruxtecan(Datroway)がEGFR変異非小細胞肺がんにFDA加速承認
【FDA承認速報】第一三共のDatrowayがEGFR変異を有するNSCLCに対して加速承認(2025年6月23日) 2025年6月23日、米国FDAはDatopotamab deruxtecan-dlnk(商品名:Datroway)を、EGFR遺伝子変異陽性の局所進行または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)で、EGFR... -
【In vivo CAR T特別編①】体内でCAR-T細胞を作り出す時代へ:課題と期待の最前線
CAR-T療法は血液がん治療における画期的アプローチとして注目を集めてきましたが、従来は患者から採取したT細胞を体外で遺伝子改変・培養して戻す「ex vivo製造」が必要でした。この製造工程は高コスト・長期間・限定的な施設依存性といった課題があり、普... -
【若返り・老化・再生研究シリーズ①】ハイフリック限界とヒト細胞の老化:老化研究の原点から今を考える
「細胞は永遠に分裂し続けるのか?」この問いに明確な答えを示したのが、1961年に発表されたハイフリックとムーアヘッドによる論文です。彼らは、ヒトの正常な二倍体細胞には限られた分裂回数しかないことを示し、**ハイフリック限界(Hayflick Limit)**... -
がん治療薬ニュース速報:Tisotumab vedotin-tftvが再発・転移性子宮頸がんにFDA承認
【FDA承認速報】SeagenとGenmabのTisotumab vedotin-tftvが再発・転移性子宮頸がんに対して承認(2025年6月21日) 2025年6月21日、米国FDAはTisotumab vedotin-tftv(Tivdak)を、化学療法後に進行した再発・転移性子宮頸がんの治療薬として正式に承認しま... -
【DDNレビュー】抗体薬2剤併用による根本的アレルギー治療アプローチ:Drug Discovery News要約(ひとこと付)
米国の研究チームが、アレルギー疾患の発症源を直接制御する新たな抗体医薬併用療法の開発を進めています。今回紹介されたアプローチでは、アレルギー反応の根幹を担う免疫グロブリンE(IgE)とその産生を促すサイトカインIL-4/IL-13の両方を標的とします... -
【製薬会社・バイオテックニュース】個別化mRNAがんワクチン開発が加速:Nature Biotechnologyレビューより
2025年6月号のNature Biotechnology誌に、個別化mRNAがんワクチン開発の現状を総括する総説論文が掲載されました。近年、患者ごとのネオアンチゲン(腫瘍特異的変異抗原)を標的とするmRNAワクチンが、がん免疫療法の新たな選択肢として注目を集めています... -
Rare & Pediatric Disease News Vol.1
🧒 はじめに:なぜ小児・希少疾患が注目されるのか? 小児希少疾患は、患者数が少なく、治療法が限られているにもかかわらず、命に関わる重篤な疾患が多く存在します。そのような背景の中で、アメリカでは2012年に「Rare Pediatric Disease Priority Review... -
【RWD・ゲノムビジネス特別編】23andMe買収劇に見るリアルワールドデータ活用の課題と可能性
個人向け遺伝子検査ビジネスの先駆けであり、世界最大級のゲノム・家族情報データベースを保有していた米国の23andMeが、ついに経営破綻を迎えました。当初はRegeneronによる買収交渉が報道されていましたが、最終的に創業者であるAnne Wojcicki氏が305百... -
【AI創薬の現実①】AI Drug Discoveryはどこまで実用化されているのか?期待と限界を整理する
近年、AI(人工知能)技術の進化に伴い、AI創薬(AI Drug Discovery)という言葉が急速に注目を集めています。ニュースや論文でも「AIが新薬を生み出す」「創薬が自動化される」といった期待感が語られることが増えています。 しかし、実際の創薬実務にお... -
【Science News】Natureハイライト選出:小分子でミトコンドリアDNAポリメラーゼ活性を回復する新手法
2025年6月12日号のNatureに掲載された最新研究で、POLG遺伝子変異による重篤なミトコンドリア疾患に対して、小分子化合物PZL-AがDNAポリメラーゼγ(POLγ)の機能を直接回復させることが報告されました。本研究はNature Highlightsにも選出されています。 P... -
【US研究留学とキャリア形成の多様さシリーズ①】アメリカで研究を始める前に知っておきたい3つのこと
アメリカの研究室で研究留学を始める――それは多くの若い研究者にとって、新たな成長と挑戦のスタートラインです。ただ、アメリカの研究文化・価値観・日常の進め方は、日本や他国とかなり異なる部分も多くあります。これから初めてアメリカで研究に取り組... -
【Science News】C9orf72変異による核膜孔複合体異常がALS・FTD発症に関与:Nature論文要約(マイキャッチ付)
米国の研究チームが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および前頭側頭型認知症(FTD)の主要な原因遺伝子であるC9orf72遺伝子反復配列異常が、神経細胞の核膜孔複合体(nuclear pore complex: NPC)の機能障害を引き起こすことをマウスモデルで解明しました。C9o... -
固形がん領域でのCAR-T細胞治療の成功例:Drug Discovery News特集
これまで主に血液がんで成功を収めてきたCAR-T細胞治療が、消化器系の固形がん(特に大腸がん、胃がん、食道がんなど)においても有望な成果を示し始めています。米国の研究チームは、特定の固形がん抗原(CLDN18.2など)を標的としたCAR-T細胞療法の前臨... -
エピジェネティック編集が遺伝子治療の適応拡大を可能に:Drug Discovery News特集
米国の研究グループが、遺伝子そのものを改変せずに遺伝子発現を制御する「エピジェネティック編集」により、新たな治療の可能性を示しました。DNAやRNA配列を直接改変する従来の治療と異なり、この手法は転写活性を制御するタンパク質複合体を利用して、... -
Rare & Pediatric Disease News Vol.3 : 希少小児失明疾患に対する新たな遺伝子治療:Drug Discovery News特集
アメリカの研究チームは、先天性レーベル黒内障(Leber Congenital Amaurosis:LCA)という希少小児失明疾患に対して新たな遺伝子治療を開発しました。本治療は従来のAAVベクターを用いた遺伝子補充法とは異なり、RNA編集技術を利用してCEP290遺伝子変異を... -
がん治療薬ニュース速報:pembrolizumab (Keytruda) が局所進行頭頸部扁平上皮がんにFDA承認
【FDA承認速報】Merckのpembrolizumab (Keytruda)が局所進行切除可能頭頸部扁平上皮がんに承認(2025年6月12日) 2025年6月12日、米国FDAはpembrolizumab (Keytruda)をPD-L1 CPS ≥1を有する局所進行切除可能頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)治療薬として承認し... -
がん治療薬ニュース速報:mitomycin (Zusduri) が低グレード・中リスク再発性非筋層浸潤性膀胱がんにFDA承認
【FDA承認速報】UroGen Pharmaのmitomycin (Zusduri)が低グレード・中リスク再発性非筋層浸潤性膀胱がんに承認(2025年6月12日) 2025年6月12日、米国FDAはmitomycin (Zusduri)を成人の再発性低グレード・中リスク非筋層浸潤性膀胱がん(LG-IR-NMIBC)治療... -
がん治療薬ニュース速報:taletrectinib (Ibtrozi) がROS1陽性非小細胞肺がんにFDA承認
【FDA承認速報】Nuvation Bioのtaletrectinib (Ibtrozi)がROS1陽性非小細胞肺がんに承認(2025年6月11日) 2025年6月11日、米国FDAはtaletrectinib (Ibtrozi)を成人の局所進行または転移性ROS1陽性非小細胞肺がん(NSCLC)治療薬として承認しました。本剤...