2025年の治療薬・市販開始薬のトレンドとは?
- 肥満薬の市場拡大と争奪戦
- ADC Waveと次世代型ADC(Antibody Drug Conjugate)
- 希少疾患治療役・治療法への挑戦
昨年に引き続き肥満薬の市場での存在感が大きくなるでしょう。市場の大きさとしても世界で10兆円規模であると試算されています。そのため製薬会社はバイオベンチャーを買収してでも手に入れたいと出遅れ組は躍起になっています。一方、一番乗りであったNovo NordiscとEli Liliyは先行既発品だけでなく、改良版をセカンドジェネレーションとして準備しています。
製薬業界のマーケットはとにかく最初に市場に出てシェアーを獲得することが利潤を最大限に享受することになります。しかしながら、後発品でもマーケットシェアが大きく、さらに最低限承認されうる差別化点があれば、十分過ぎる得るものは有るのです。詳細な肥満薬の特徴は後日ご紹介します。
がん治療薬において、4-5年前からADCは、再注目を浴び各社こぞって着手したち、マイナーだった自社ADC研究組織を活発化し始めました。間違いなく、第一三共のエンハーツの臨床成績が世界の認識を変えました。2021年6月 ASCO(アメリカ臨床腫瘍学会年会・シカゴ)にて、乳がん患者における素晴らしい臨床成績の発表があり、治療薬がない患者さんだけでなく、医師、製薬会社にとっても新しい治療薬の効果とその見方をもたらす成績でした。このインパクトから、従来の治療薬ADCの技術位置付けが再定義され、まだ改良の余地が有ることが示唆されました。その可能性に多くの製薬会社とバイオベンチャーが新たに参入したり、活動に注力することになります。それらの成果が近日中に報告され始めるはずです。紙面の余裕があるときに当時のASCO会場での回顧録を掲載します。
治療技術は、まさに不可能を可能にする、無理だという先入観を壊すブレークスルーを目指す技術が複数出てきました。ときにはノーベル賞を数年後に受賞することが多いです。例えばiPS細胞を使った細胞療法、mRNAを治療薬とする、ゲノム編集技術Crisperを使った治療法などが挙げられます。特にこれら技術は希少疾患、難病指定疾患に希望をもたらすものが多いです。