シリーズ:がんの不安をほどくーはじめの1冊ー第1回:がんと診断を受けた時:最初の1週間でやること・やらないこと(家族のための質問リスト)


シリーズ:がんの不安をほどく:はじめの1冊

医療知識がなくても、家族のために「今なにを確認すればいいか」を落ち着いて整理できるシリーズです。


「がんです」と言われた瞬間、頭が真っ白になるのは自然な反応です。けれど実際には、診断直後の1週間で“やるべきこと”を少し整理できるだけで、不安はかなり下がります。この記事では、治療の専門知識よりも先に必要な「最初の行動」を、生活者目線でまとめます。

目次

この記事でわかること(先に結論)

  • ① 最初の1週間で“やること”:診断内容の確認、検査予定の把握、情報整理、相談の順番
  • ② “やらないこと”で不安を減らす:検索の沼・比較の沼・拙速な決断を避ける
  • ③ 家族が支えるときの要点:質問リスト、メモ、役割分担(本人の気持ちも守る)

まず落ち着くために:最初の24時間でやる“たった1つ”

最初におすすめしたいのは、気合いで情報を集めることではなく、「今日わかった事実」を短くメモにまとめることです。この1枚があるだけで、その後の診察・家族の会話・セカンドオピニオンが格段に楽になります。

診断直後メモ(短くてOK)

  • がんの種類(言われた名前):__________
  • どこの臓器/部位:______________
  • 検査で確定か?(生検・病理など):はい/いいえ/不明
  • 次の予定(検査/受診日):___________
  • 担当科/担当医:________________
  • 医師が言った“優先事項”の一言:_________

ポイントは、正確さより「いま確認すべき項目」を揃えることです。分からない欄があっても問題ありません。次の受診で埋めれば十分です。

最初の1週間で“やること”①:診断の「確度」と「次の検査」を確認する

がんの診断は、画像で疑い→検査で確定→病理でタイプ→追加検査で広がり(ステージ)という流れで進むことが多いです。診断直後に重要なのは、いまの段階が「どこまで確定しているか」を確認することです。

確認したい3点

  • 診断は確定か?(病理結果が出ているか)
  • どの検査結果が、何を示しているか(画像/血液/内視鏡など)
  • 次に何をする予定か(追加検査、治療方針説明、紹介先)

ここが整理できると、「今は決められないこと」と「今決めること」が分離でき、不安が減ります。

最初の1週間で“やること”②:書類とデータは“集める”より先に“所在を確認”する

診断直後は、書類を片っ端から集めたくなりますが、まずは“どこにあるか/どう受け取るか”が分かれば十分です。

所在確認チェック

  • 検査画像(CT/MRI/PETなど)はどこで受け取れる?(CD/オンライン)
  • 病理結果(診断名・検体情報)はいつ出る?
  • 紹介状(必要な場合)はどのタイミングで作成される?
  • 次回までに持参すべきものは何か?

家族が動けるなら、本人の負担を減らすために「受け取り方法・窓口・必要な手続き」を確認しておくとスムーズです。

最初の1週間で“やること”③:相談の順番を決める(誰に、何を聞くか)

診断直後は“最強の病院探し”に走りがちですが、最初に必要なのは、状況を整理して「次の一手」を決めることです。

迷ったときの相談順(一般的な考え方)

  1. 主治医(担当医):今の段階、次の検査、緊急性、治療の大枠
  2. 必要なら専門施設の紹介:適応がある場合に紹介される
  3. セカンドオピニオン:不安が強い、治療選択肢が複数ある、説明を整理したい時

セカンドオピニオンは「主治医を疑う行為」ではなく、「理解を深めるための整理」だと考えると心理的負担が減ります。

最初の1週間で“やらないこと”(不安が増える行動を止める)

  • やらないこと①:診断名で体験談を延々と検索し続ける(症例も背景も違うため、感情が引っ張られやすい)
  • やらないこと②:病院ランキングや“神医”探しで疲弊する(まず「今の病状と治療方針」を理解しないと比較できない)
  • やらないこと③:拙速に“人生の決断”を一気に決める(大きい決断は順番がある。まず医療側の計画を確認してからで十分)

家族のための「役割分担」(本人を守りつつ、支える)

家族ができる支えは、励ます言葉より「負担の軽減」で効きます。

おすすめの分担例

  • 本人:症状や希望(生活で大事にしたいこと)を言葉にする
  • 家族:メモ/書類手続き/問い合わせ/スケジュール管理
  • 共通:医師の説明を“復唱して確認”する(聞き間違い防止)

受診で役立つ「質問リスト」(そのまま使える)

  • 診断は確定していますか?(確定なら根拠は病理ですか?)
  • 現時点で分かっている“がんの種類”と“広がり”はどこまでですか?
  • 次に必要な検査は何ですか?(目的は何ですか?)
  • 緊急性は高いですか?(いつまでに何をすべきですか?)
  • 治療の選択肢は何が想定されますか?(手術/薬物療法/放射線など)
  • 治療開始までに気をつける症状(受診すべきサイン)は?
  • 日常生活で避けるべきこと・続けてよいことは?
  • 専門施設への紹介が必要な条件は何ですか?
  • セカンドオピニオンを希望する場合、何を準備すればよいですか?
  • 次回はいつ、何を説明する予定ですか?(家族も同席すべき?)

まとめ

  • 診断直後は、まず「何が確定していて、次に何をするか」を短いメモにする。
  • 書類は“集める”より先に“所在と受け取り方法”を確認する。
  • 検索と比較で疲弊する前に、主治医に質問して治療の流れを把握する。
  • 家族は「励まし」より「負担軽減」で支える(メモ・手続き・スケジュール)。

次に読む(同シリーズ)

次に読む1本:転移って何?(ステージとの違いと治療の変化)

今後の掲載予定(同シリーズ)

  • 今後:転移って何?(ステージとの違いと治療の変化)
  • 今後:良性腫瘍と悪性腫瘍(名前に振り回されない整理)
  • 今後:遺伝子変異/発がんリスク/希少がん/“最新治療”ニュースの読み方

※リクエストが多いテーマは前後することがあります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の状況により最適な対応は異なります。症状が急激に悪化する場合や緊急性が疑われる場合は、地域の救急窓口・医療機関へご相談ください。


Morningglorysciences teamの編集です。

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この記事を書いた人

大学院修了後、米国トップ研究病院に留学し本格的に治療法・治療薬創出に取り組み、成功体験を得る。その後複数のグローバル製薬会社に在籍し、研究・ビジネス、そしてベンチャー創出投資家を米国ボストン、シリコンバレーを中心にグローバルで活動。アカデミアにて大学院教員の役割も果たす。

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