新シリーズ 第2回:大腸がんが気になったら:症状・検査・治療をやさしく整理(家族のための最初の1本)|がんの不安をほどく:臓器別・基本の全体像

「便に血が混じった気がする」「便秘と下痢をくり返す」「健診で便潜血が陽性だった」。こうした時、検索を始めると情報が多すぎて不安が増えることがあります。

この記事は、生活者の方が落ち着いて状況整理できるように、大腸がん(結腸がん・直腸がん)の症状・受診の目安・検査の流れ・ステージ・治療を“全体像”としてやさしくまとめます(※一般的な情報であり、診断や治療の代替ではありません)。

がんの不安をほどく:臓器別・基本の全体像

  • 第1回:肺がん(公開済み)
  • 第2回:大腸がん(本記事)
  • 次に読む(予定):胃がん/乳がん/前立腺がん…
目次

まず結論:今日やるべき整理は3つ

  • 症状(血便っぽい/便通の変化/腹痛/体重減少 など)
  • きっかけ(便潜血陽性/貧血の指摘/家族の受診 など)
  • 緊急性(すぐ受診した方がよいサインがあるか)

大腸がんは、早期では症状がほとんどないこともあります。一方で、症状が出たときは「痔」など別の原因もあり得ます。だからこそ、決めつけないことと、放置しないことのバランスが大切です。

大腸がんを疑う“きっかけ”は、よくある不調とも重なる

便通の乱れや出血は、痔、腸炎、過敏性腸症候群などでも起こります。検索で自己判定を続けるより、検査で整理する方が早道です。

よくあるきっかけ(よくある=軽い、ではありません)

  • 便に血が混じる(血便・下血)/便の表面に血が付く
  • 便秘・下痢が続く/交互に起きる
  • 便が細くなった気がする、残便感
  • 腹痛、張り、ガスがたまりやすい
  • 原因不明の貧血、だるさ
  • 体重減少、食欲低下
  • 健診の便潜血検査が陽性

早めの受診が望ましいサイン(迷ったら医療機関へ)

  • 血便が続く/量が増える
  • ふらつき、息切れ、強いだるさ(貧血が疑われる)
  • 強い腹痛、嘔吐、便やガスが出ない(腸閉塞が疑われる)
  • 急な体重減少が続く

※ここは不安を煽るためではなく、「いつ受診すべきか」を明確にするための整理です。

最初の受診先はどこがよい?

  • 便潜血陽性:消化器内科(内視鏡の相談がしやすい)
  • 血便や便通異常が続く:消化器内科、またはまず内科→必要に応じて紹介
  • 強い腹痛・嘔吐・便が出ない:早めに医療機関(急性対応が必要なことがあります)

「痔かもしれない」と思っても、自己判断で結論を固定しない方が安全です。医療機関では症状の経過を踏まえて、検査の優先順位を一緒に決められます。

大腸がんの検査は、だいたいこの順で進む(全体像)

①スクリーニング(きっかけの検査)

  • 便潜血検査(健診で行われることが多い)
  • 血液検査(貧血など全身状態の確認)

便潜血が陽性でも、原因が必ずしもがんとは限りません。ただし、放置してよいサインでもありません。次の検査につなげることが重要です。

②確定診断(「がんかどうか」を確かめる)

  • 大腸内視鏡(大腸カメラ):大腸全体を観察し、必要なら生検(組織採取)

多くの場合、確定診断の中心は大腸内視鏡です。内視鏡では、病変の観察だけでなく、組織を取って確かめる(病理診断)ことができます。

内視鏡が不安な方へ:前処置(下剤)は“検査の質”を左右します

大腸内視鏡の前には、腸の中をきれいにするために下剤を飲みます。方法やタイミングは施設によって異なりますが、医療側から説明があります。水分をしっかり取り、指示どおりに進めることが、見落としを減らすうえで大切です。

③広がり(ステージ)評価(治療を選ぶための地図)

  • CT(胸・腹・骨盤など)
  • 必要に応じてMRI、PETなど

ここは「怖い検査」ではなく、治療を正しく選ぶための地図作りです。

ステージは“重さのラベル”ではなく、治療を決める情報

大腸がんのステージは、がんの深さ(壁のどこまで)・リンパ節転移・遠隔転移の組み合わせで決まります。目安としては次のように理解すると整理しやすいです。

  • ステージ0:粘膜内にとどまる
  • ステージ1:筋層までにとどまる
  • ステージ2:筋層を超えて浸潤
  • ステージ3:リンパ節転移がある
  • ステージ4:他臓器への転移がある

大切なのは「数字の印象」より、その人に合う治療の組み合わせを選ぶことです。

治療の全体像:大きく4つ(状況で組み合わせる)

1) 内視鏡治療(条件が合えば)

早期で、内視鏡で取れる形・深さの場合には、内視鏡治療が検討されることがあります。

2) 手術

大腸がん治療の中心になることが多い選択肢です。がんの部位(結腸/直腸)や広がりによって術式や追加治療の考え方が変わります。

3) 薬物療法(抗がん剤・分子標的・免疫療法など)

再発リスクを下げる目的(術後補助療法)や、進行・再発で全身治療が必要な場面で検討されます。治療選択のために検査(バイオマーカー等)が行われることもあります。

4) 放射線治療(直腸がんで登場しやすい)

直腸がんでは、手術の前後や薬物療法と組み合わせて放射線を使うことがあります(病状や施設方針によります)。

受診前にメモしておくと話が早い(家族にも役立つ)

  • 症状:いつから、頻度、血の色(鮮血/暗いなど)、便通の変化
  • 健診結果:便潜血の結果、指摘の文言
  • 既往歴:大腸ポリープ、炎症性腸疾患など
  • 家族歴:大腸がん・ポリープの有無
  • 服薬:血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬など)

よくある誤解(検索の沼を避ける)

  • 「血便=即がん」ではありません(痔などもあります)。でも確認は必要です。
  • 「便潜血陽性=がん確定」ではありません。けれど内視鏡で確認する価値があります。
  • 「症状がない=安心」とも限りません。早期は症状が出ないことがあります。

まとめ(1分で復習)

  • 症状だけで決めつけず、受診→内視鏡で整理するのが近道
  • 確定診断は組織(生検)で行い、CTなどで広がりを評価する
  • ステージは恐怖の数字ではなく、治療を決める地図
  • 治療は内視鏡治療・手術・薬物療法・(直腸では)放射線の組み合わせ

次に読む(予定)

  • 第3回:胃がん(ピロリ菌・胃カメラ・経過観察を落ち着いて理解する)
  • 第4回:乳がん(しこりに気づいたら最初に知っておきたいこと)


Morningglorysciences teamの編集です。

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この記事を書いた人

大学院修了後、米国トップ研究病院に留学し本格的に治療法・治療薬創出に取り組み、成功体験を得る。その後複数のグローバル製薬会社に在籍し、研究・ビジネス、そしてベンチャー創出投資家を米国ボストン、シリコンバレーを中心にグローバルで活動。アカデミアにて大学院教員の役割も果たす。

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