2025年6月号のCancer Discovery誌に掲載された最新研究で、小分子化合物を用いてp53変異タンパク質の腫瘍抑制機能を回復させる新戦略が報告されました。本研究は同号のPerspectiveでも特集され、注目を集めています。
p53は多くのがん種で最も高頻度に変異を受ける腫瘍抑制遺伝子であり、特にミスセンス変異が主流です。研究チームは、新たに設計した低分子化合物がp53の変異構造を安定化させ、部分的に野生型に近いDNA結合活性と腫瘍抑制機能を回復させることを示しました。in vitroの細胞系のみならず、動物モデルにおいても有望な抗腫瘍効果が確認されています。
Perspective論文では、長年続いてきたp53 Gain-of-Function(GOF)議論を整理しつつ、本研究の意義が高く評価されています。今回の知見は、長らく困難とされてきたp53標的創薬分野に新たな可能性を提示しています。
出典:Cancer Discovery (2025年6月), 研究論文リンク / Perspective: 解説リンク
【ひとこと】
p53変異を直接修復・安定化する治療法は「がん創薬の聖杯」とも言われてきました。今回の報告は、長年模索されてきたp53標的薬開発における重要な一歩だと感じます。今後の臨床応用への進展に大きな期待が寄せられます。
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