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【戦略レビュー】免疫・がん・希少疾患の重点強化によるR&D主導型戦略
Johnson & Johnson(J&J)は、免疫系疾患やがん領域、希少疾患を中心にバイオテック企業への戦略的出資・買収を展開しています。がん免疫療法、CAR-T、抗体・ADC領域をターゲットに、Janssenブランドでの開発も推進。RNA、細胞治療など新技術への対応も見られ、持続的な成長を視野に入れた取り組みが続いています。
主な買収・提携(2015〜2025)
- 2017年:Actelion(希少疾患・肺高血圧症)買収 約300億ドル
- 2018年:Bristol-Myers Squibbとの提携強化(がん免疫療法)
- 2021年:Legend BiotechとCAR-T療法「Carvykti」共同開発(多発性骨髄腫)
- 2022年:Abiomed(心臓補助装置)買収 約168億ドル
- 2023年:Nimbus Therapeuticsと提携(炎症性疾患向けTYK2阻害剤)
- 2024年:Cellarity(人工知能で疾患表現型を標的にする新薬設計)と提携
戦略的意義
J&Jは免疫炎症・希少疾患・心血管・がんなどの「疾患横断的」アプローチを志向。特にCarvyktiによるCAR-T参入、Actelion買収での希少疾患強化、Abiomedによる循環器領域拡張は、いずれも中長期の競争力を高めています。新技術を戦略的に取り入れながら、既存治療領域との統合を進めています。
ひとこと
Johnson & Johnsonは疾患領域ごとの重点投資と同時に、AI創薬・細胞治療などの技術革新を取り込む柔軟性も備えた稀有な企業です。PharmaとMedTechの深い融合を戦略の核心としています。Janssenブランドを通じての医療価値提供の多角化が、グローバルでのリーダーシップに繋がっています。また傘下には、独立機関ではあるもののアーリーステージのスタートアップを支援するJLabもグローバル展開しています。このJLab活動などの意義は変化についても別記事で紹介します。
参考文献・情報元
- Actelion買収(2017)
- Abiomed買収(2022)
- Cellarityとの提携(2024)
- Nimbusとの提携(2023)
- Legend BiotechとのCarvykti共同開発(2021)
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