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【戦略レビュー】糖尿病の巨人から、肥満・NASH・RNA・希少疾患への飛躍
Novo Nordiskは、GLP-1受容体作動薬(Ozempic、Wegovy)で世界的な成功を収めつつ、近年は肥満治療に続き、NASH、循環器、RNA創薬、希少疾患など多様な領域に拡大を図っています。買収を通じて技術プラットフォームを獲得し、モダリティ拡張も積極化しています。
主な買収・提携(2015〜2025)
- 2015年:Calibrium、MB2(GLP-1関連研究、インディアナ大学発スタートアップ)
- 2018年:Ziylo(糖応答型インスリン技術、英国)
- 2020年:Corvidia Therapeutics(CVDとCKD対象RNAベース薬)|約22億ドル
- 2021年:Emisphere Technologies(経口ペプチド技術)|約18億ドル
- 2022年:Dicerna Pharmaceuticals(RNAiプラットフォーム)|約33億ドル
- 2023年:Forma Therapeutics(鎌状赤血球症、希少血液疾患)|約11億ドル
- 2023年:Inversago Pharma(CB1拮抗薬:肥満・NASH)|最大14億ドル
- 2024年:Cardior Pharmaceuticals(心疾患向けRNA治療)|約11億ドル
- 2025年:Deep Apple(低分子GPCR創薬、812百万ドル)
- 2025年:Gensaic(精密タンパク質プログラム共同開発、354百万ドル)
- 2025年:Septerna(経口肥満・糖尿病薬の共同開発)
- 2025年:NVIDIAおよびDCAIとのAI創薬共同研究
注目の動向と戦略的意義
GLP-1を中心とした肥満・糖尿病市場の成功に加え、RNA創薬や希少疾患の治療、さらには心・腎・肝といった代謝系疾患の統合管理へと事業を拡張する戦略が進んでいます。DicernaやCardior、さらにAI創薬との連携など、モダリティと手法の多様化が目立ちます。
ひとこと
Novo NordiskはGLP-1ブームの主役として知られていますが、将来的にはそれだけに頼らない柔軟で多軸の成長戦略が必要になります。RNA創薬や心血管・肝疾患、さらにAI創薬領域の拡充は、長期的視点でも注目に値します。
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