本シリーズ最終回では、世界のバイオテック・製薬企業が開発を進める最新の二重特異抗体薬の状況と、ここ1年を中心にFDA/欧州で承認された新規薬剤を総まとめします。開発トレンドや注目の企業・提携なども併せて紹介します。
1. 過去1年の主要な新規承認 bispecific 抗体
- Zanidatamab(Ziihera):HER2陽性胆道がん向け、米国で2024年11月承認、EUでは2025年6月承認 :contentReference[oaicite:1]{index=1}
- Odronextamab(Ordspono):CD20×CD3のBiTE、欧州で2024年8月承認 :contentReference[oaicite:2]{index=2}
- Linvoseltamab(Lynozyfic):CD3×BCMA、EUでは2025年4月、米国でも2025年7月承認 :contentReference[oaicite:3]{index=3}
2. グローバル市場と承認薬の増加
2024年までに、世界で約19本の二重特異抗体薬が承認されており、その市場規模は120億ドルを超えています :contentReference[oaicite:4]{index=4}。FDAでは2024年までに13本が承認され、2025年も承認が加速する見込みです :contentReference[oaicite:5]{index=5}。
3. 製薬各社の動向と注目の提携
- BioNTechとBMSが開発中のBNT327(二重特異構造)、Keytruda超えを狙うドイツ大手との大型提携(最大110億ドル) :contentReference[oaicite:6]{index=6}
- Pfizerが中国3SBioのPD-1/VEGF 二重特異抗体「SSGJ-707」の権利取得、大規模投資 :contentReference[oaicite:7]{index=7}
- Akeso(中国)におけるcadonilimab、ivonescimabの承認とグローバル展開、NRDL登録 :contentReference[oaicite:8]{index=8}
4. 市場トレンド:今後の展望
世界の二重特異抗体市場は2025年時点で56億ドル規模で、2035年には168億ドルへと急成長が見込まれます :contentReference[oaicite:9]{index=9}。北米が市場を牽引し、アジア太平洋地域が最も成長が見込まれる市場の一つです :contentReference[oaicite:10]{index=10}。
まとめ:未来への布石となる創薬戦略
第5回では、ここ1年で承認された3本の新規BsAbに加え、企業間提携や市場展望のトレンドまで包括的にフォローしました。二重特異抗体薬の進化は、がんや自己免疫、希少疾患の治療に大きな可能性を示しています。今後は更なる適応症拡大や安全性・製造体制の進化にも注目です。
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この記事はMorningglorysciences編集部によって制作されました。
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