夏休み特集|初心者向け入門シリーズ 第1弾(前編)
やせ薬って何?話題の肥満治療薬をゼロからやさしく解説
こんにちは!Morningglorysciencesの夏休み特集、初心者向け入門シリーズの第1弾をお届けします。
このシリーズでは、医療やバイオの知識がない方でも、今話題の最新治療や研究のことを“ゼロからやさしく”解説します。
記念すべき第1回のテーマは… 「やせ薬」=肥満治療薬。
「テレビやSNSでよく聞くけど、実際どういうもの?」「安全なの?」「誰でも使えるの?」
そんな疑問にお答えするために、全2回でわかりやすくお伝えします。
そもそも肥満ってどういう状態?
肥満とは、体脂肪が過剰に蓄積して健康リスクが高まった状態を指します。
よく使われる指標として「BMI(Body Mass Index)」があります。
BMIは以下の式で計算されます:
BMI = 体重(kg) ÷(身長(m)×身長(m))
例えば、身長170cmで体重85kgの人のBMIは、29.4となり、一般的に「肥満一歩手前」とされます。
肥満が引き起こすリスクって?
肥満は見た目の問題だけではありません。以下のような生活習慣病のリスクが高まります:
- 2型糖尿病
- 高血圧
- 脂質異常症(高コレステロール)
- 脳卒中・心筋梗塞などの循環器疾患
- 睡眠時無呼吸症候群
こうしたリスクを防ぐためにも、肥満を治療の対象とする考え方が世界中で広がっています。
「やせ薬」って本当にあるの?
実は昔から「ダイエット薬」「食欲抑制薬」といった薬は存在していました。
しかし副作用や依存性の問題から多くは市場撤退。
そんな中、新しいタイプの肥満治療薬として登場したのが「GLP-1受容体作動薬」です。
GLP-1って何?体にどう効くの?
GLP-1は、食事をとったときに小腸から分泌される「ホルモン」の一種です。
このホルモンは主に以下のような働きをします:
- インスリンの分泌を促進(血糖値を下げる)
- 胃の動きを遅くする(満腹感を持続)
- 脳の食欲中枢に作用し、食欲を抑える
つまり、GLP-1を外から薬として与えると、自然な形で「食べ過ぎを防ぐ」ことができるのです。
有名な薬にはどんなものがあるの?
現在、世界で特に注目されている肥満治療薬には次のようなものがあります:
- Wegovy(ウゴービー):ノボノルディスク社の肥満治療薬。GLP-1製剤。
- Ozempic(オゼンピック):もともとは糖尿病薬。やせ効果が注目され、美容目的の使用も。
- マウンジャロ(Mounjaro):イーライリリー社による新型薬。GLP-1とGIPの二重作動。
特に米国では、有名人が使用したことで爆発的な人気となり、一時期品薄になるほどでした。
日本ではどうなの?
日本でもウゴービーが承認され、2024年から使用可能になりました。
ただし保険適用ではなく、自費診療(自由診療)が基本となっています。
「美容クリニック」などでの導入が進んでいる一方、医療上の必要性がある肥満症の方にも有効な治療選択肢となっています。
まとめ(前編)
- 肥満は単なる“見た目”ではなく、医療的に治療すべき病気。
- GLP-1製剤は、自然に近い方法で食欲をコントロールする新しい薬。
- 日本でも導入が進みつつあり、今後ますます注目される分野。
後編では、肥満治療薬の副作用・注意点、世界の開発競争、そして将来の展望を深掘りしていきます。
ぜひ次回もお楽しみに!

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