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【戦略レビュー】Humira以降を見据えた多様な領域への拡張戦略
AbbVieは、主力製品Humira(アダリムマブ)の特許切れによる影響を見据え、免疫、がん、神経、眼科、美容医療など多岐にわたるパイプライン強化を実施してきました。大型M&Aから、RNA、ペプチド、デグレーダーといった次世代技術への投資まで幅広く、科学と収益基盤の両立を追求しています。
主な買収・提携(2015〜2025)
- 2015年:Pharmacyclics(Imbruvica取得、血液がん)|約210億ドル
- 2016年:Stemcentrx(がん幹細胞標的抗体)|最大98億ドル
- 2019年:Allergan(美容医療・眼科・神経など)|約630億ドル
- 2023年:ImmunoGen(ADC Elahere、卵巣がん)|約101億ドル
- 2024年:
- Cerevel Therapeutics(神経精神薬)|約87億ドル
- Aliada Therapeutics(アルツハイマー抗体)|約14億ドル
- Celsius Therapeutics(RNAマーカー創薬)|数億ドル
- Landos Biopharma(自己免疫疾患、経口薬)|2億ドル超
- 2024年末〜2025年初:
- Nimble Therapeutics(ペプチド創薬:自己免疫)|約2億ドル
- Neomorph(分子間デグレーダー)共同開発|最大14億ドル
- Simcere(多発性骨髄腫ADC)ライセンス|10億ドル超
- ADARx(RNA修飾・分解)技術ライセンス|3億ドル超
注目の動向と戦略的意義
AbbVieはHumira依存からの脱却を図る中で、がん・神経・自己免疫といった重点領域への集中投資を展開しています。Allerganにより美容・眼科を加え、ImmunoGenでADCに参入、NeomorphやADARxなど革新的創薬プラットフォームへの展開は次世代収益基盤の形成を示します。
ひとこと
AbbVieは、成熟製品への依存からの転換を図りつつ、科学技術への投資で継続的な成長を目指しています。リスクを取って未来型アセットにアクセスする姿勢は、業界の中でも非常に積極的で評価に値します。
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