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【戦略レビュー】抗ウイルス薬からがん免疫治療・遺伝子治療への大規模シフト
Gileadはもともと抗ウイルス薬、特にHIVやC型肝炎での世界的シェアを誇っていましたが、特許切れによる収益低下を背景に、2015年以降がん免疫治療や遺伝子治療へ積極的なM&Aと提携を展開しています。
主な買収・提携(2015〜2025)
- 2017年:Kite Pharma(CAR-T細胞療法「Yescarta」、血液がん)買収、約119億ドル
- 2020年:Immunomedics(Trop-2標的ADC「Trodelvy」、乳がん)買収、約210億ドル
- 2020年:Pionyr Immunotherapeutics(がん免疫、MDSC抑制)買収・提携、最大17億ドル
- 2021年:Tizona Therapeutics(免疫チェックポイント抗体、固形がん)買収オプション、3億ドル+オプション
- 2022年:MiroBio(T細胞抑制性受容体の抗体、自己免疫疾患)買収、4.05億ドル
- 2024年:Tango Therapeuticsと提携(合成致死性腫瘍ターゲット、小分子薬)、最大60億ドル
戦略的意義
Gileadは、感染症領域の成功から得たキャッシュフローを活用し、がん免疫領域(ADC、CAR-T、T細胞制御)や合成致死性標的、小分子薬へと戦略的にシフトしました。TrodelvyやYescartaなど、複数のパイプラインは商業化に成功しており、買収による製品化例として代表的です。
ひとこと
Gileadは非常に積極的に新しい技術に投資を実施してきました。確率的にもすべて成功するわけではありませんが、製品であったり、製品まで成長し獲得したものがしっかりあり、環境変化に対して良いリスクの取り方をしていると言えるでしょう。
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