新シリーズ がんの不安をほどく:臓器別・基本の全体像 第3回:胃がんが心配なとき:ピロリ菌・胃カメラ・経過観察を“落ち着いて”理解する

「胃が痛い」「胃もたれが続く」「健診で“要精密”と言われた」「ピロリ菌がいると言われた」。こうした時、検索すると不安が増えやすいテーマが胃がんです。

この記事は、生活者の方が落ち着いて状況整理できるように、胃がんの症状・受診の目安・検査(胃カメラ)・ステージ・治療・経過観察を“全体像”としてやさしくまとめます(※一般的な情報であり、診断や治療の代替ではありません)。

がんの不安をほどく:臓器別・基本の全体像

目次

まず結論:胃がんが心配なときの整理は3つ

  • 症状(胃痛、胃もたれ、食欲低下、体重減少、黒色便など)
  • きっかけ(健診、ピロリ菌、家族歴、貧血の指摘など)
  • 次の一手(まず胃カメラが必要か/経過観察でよいか)

胃がんは、初期は症状が出にくいことがあります。一方で、症状があっても胃炎・胃潰瘍など良性疾患でも似た症状が起こります。だからこそ、自己判断で結論を固定せず、検査で整理するのが近道です。

胃がんの“きっかけ”は、他の胃の病気とも重なる

胃炎や胃潰瘍、逆流などでも胃の不快感は起こり得ます。ピロリ菌は胃がんリスクと関連があるとされますが、ピロリ菌=胃がん確定ではありません。重要なのは、今どの段階にいるか(感染の有無/胃粘膜の状態/症状)を整理することです。

よくあるきっかけ

  • 胃痛、胃もたれ、胸やけ、吐き気などが続く
  • 食欲低下、体重減少
  • 貧血を指摘された
  • 黒色便(タール便)っぽい便が出た
  • 健診で「胃の異常」「要精密」
  • ピロリ菌感染を指摘された

早めの受診が望ましいサイン(迷ったら医療機関へ)

  • 黒色便(タール便)や吐血が疑われる
  • ふらつき、息切れ、強いだるさ(貧血の可能性)
  • 食事が通りにくい感じ、嘔吐が続く
  • 体重減少が続く

最初の受診先はどこがよい?

  • 健診で要精密:消化器内科(内視鏡の相談がしやすい)
  • 症状が続く:内科でも可(必要に応じて消化器内科へ)
  • 黒色便・吐血・強い貧血症状:早めの受診が望ましい

胃がんの検査は、だいたいこの順で進む(全体像)

①入口:胃の中を確認する(中心は胃カメラ)

  • 胃内視鏡(胃カメラ)
  • 施設や状況によってはX線検査(バリウム)

胃がんの評価の中心は、胃の中を直接見られる胃内視鏡です。胃カメラで病変を見つけた場合、次の「確定」の検査に進みます。

②確定:生検(組織)で「がんかどうか」を確かめる

  • 生検・病理検査(内視鏡で組織を採取し顕微鏡で確認)

画像だけで「確定」ではなく、最終的には組織で確かめるのが基本です。

③広がり:CT/MRI/PETなどで“地図”を作る

  • CT(リンパ節や他臓器への転移、周囲への広がりの評価)
  • MRI(必要に応じて)
  • PET(必要に応じて)

ここは恐い検査ではなく、治療を正しく選ぶための地図作りです。

④場合により:審査腹腔鏡(見落としやすい広がりの確認)

進行が疑われる場合など、状況によっては審査腹腔鏡で腹腔内の状態を確認することがあります(施設・病状によります)。

ピロリ菌の位置づけ:リスクは下がるが「ゼロ」にはならない

ピロリ菌の除菌で胃がんリスクが下がることは示されています。ただし、除菌しても胃がんリスクがゼロになるわけではないため、医師の方針に沿って内視鏡でのフォローが重要になります。

ステージは“恐怖の数字”ではなく、治療を決める情報

胃がんの治療は、深さや広がり(病期)で大きく方針が変わります。目安として、早期なら内視鏡治療が検討され、より進めば手術や薬物療法などを組み合わせます(病期分類はI〜IV期など)。

治療の全体像:大きく4つ(状況で組み合わせる)

1) 内視鏡治療(条件が合う早期)

早期で、内視鏡で取れる深さ・広がりの場合には、内視鏡治療が検討されます。

2) 手術

切除が可能な病期では中心的な選択肢です。手術の範囲やリンパ節郭清などは病状で変わります。

3) 薬物療法(化学療法など)

病期や再発リスクに応じて、手術の前後に行う(周術期)場合や、進行・再発で全身治療として行う場合があります。

4) 支える治療(症状緩和・栄養・生活の支援)

食事が取りにくい、体重が落ちる、不安が強い、といった“生活の問題”は治療と並走して扱う価値があります。これは最後の手段ではなく、最初から重要な柱です。

受診前にメモしておくと話が早い(家族にも役立つ)

  • 症状:いつから、頻度、食事との関係、体重変化
  • 健診結果:要精密の文言、画像や所見の紙
  • ピロリ菌:検査歴(いつ、どういう検査か)、除菌歴(いつ)
  • 薬:血液をサラサラにする薬、鎮痛薬など
  • 既往歴:胃潰瘍、胃炎、家族歴

よくある誤解(検索の沼を避ける)

  • 「胃痛=胃がん」ではありません。でも続くなら評価する価値があります。
  • 「ピロリ菌=胃がん確定」ではありません。リスクと確定は別です。
  • 「除菌したから安心しきる」も危険です。除菌後も内視鏡が大事です。

まとめ(1分で復習)

  • 自己判断で決めつけず、基本は胃カメラ→生検で整理する
  • CTなどは治療選択の地図作り
  • ピロリ菌は重要だが、除菌後もゼロにはならない
  • 治療は内視鏡治療・手術・薬物療法・支える治療の組み合わせ

次に読む(予定)

  • 第4回:乳がん(しこりに気づいたら最初に知っておきたいこと)
  • 第5回:前立腺がん(PSAで不安になったら読むページ)


Morningglorysciences teamの編集です。

コメントポリシー

💬 コメントされる方は事前に [コメントに関するお願い]をご確認ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

大学院修了後、米国トップ研究病院に留学し本格的に治療法・治療薬創出に取り組み、成功体験を得る。その後複数のグローバル製薬会社に在籍し、研究・ビジネス、そしてベンチャー創出投資家を米国ボストン、シリコンバレーを中心にグローバルで活動。アカデミアにて大学院教員の役割も果たす。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次