新シリーズ がんの不安をほどく:臓器別・基本の全体像 第4回:乳がん:しこりに気づいたら最初に知っておきたいこと(検査の流れ)

「しこりかも?」「左右差が気になる」「乳頭から分泌がある」。乳がんは“検索すると不安が増えやすい”代表テーマです。

この記事は、生活者の方が落ち着いて状況整理できるように、乳がんの受診の目安・検査の流れ・ステージ(病期)・治療の全体像をやさしくまとめます(※一般的な情報であり、診断や治療の代替ではありません)。

新シリーズ がんの不安をほどく:臓器別・基本の全体像

目次

まず結論:今日の整理は「3つ」だけで十分

  • 変化の種類(しこり/皮膚の変化/乳頭の変化/分泌など)
  • 緊急性(早めに受診したいサインがあるか)
  • 次の一手(乳腺外科・乳腺外来で検査の流れに乗る)

大切なのは「自己判定で結論を固定しない」ことです。乳房の変化は良性でも起こりますが、確認する価値がある変化もあります。検査の流れを知っておくと、不安の増幅(検索の沼)を避けられます。

乳がんのサイン:しこり以外もある(よくある変化)

乳がんのサインは“しこり”が有名ですが、それだけではありません。次のような変化が続くときは、医療機関で相談する価値があります。

よく相談につながる変化

  • 新しいしこり、硬いしこり
  • 乳房の一部が腫れる(しこりが触れない場合も)
  • 皮膚のくぼみ(えくぼ状)、オレンジの皮のような変化
  • 乳頭が陥没する、向きが変わる
  • 乳頭や乳房の皮膚が赤い、厚くなる、ただれる
  • 乳頭分泌(特に血性が混じる等、気になる場合)
  • わきの下や鎖骨周辺のしこり(リンパ節)

早めの受診が望ましいサイン(迷ったら相談を)

  • 変化が2週間以上続く、または悪化している
  • 皮膚が赤く腫れて熱感がある(炎症様の変化が続く)
  • 血性の乳頭分泌が続く/左右どちらか一方だけに偏る
  • わきの下のしこりが増える、痛みが強い

※ここは不安を煽るためではなく、“受診の判断”を明確にするための整理です。

最初の受診先:どこに行けばいい?

  • 乳腺外科/乳腺外来(検査が一連で進みやすい)
  • 近くにない場合:内科・外科で相談→必要に応じて紹介

「様子を見るべきか」で悩む場合は、まず相談して検査の優先順位を決める方が、結果として早く落ち着けます。

検査の流れ(全体像):多くはこの順で進む

①診察(視診・触診)

乳房の左右差、皮膚・乳頭の変化、しこりの硬さ・動き、わきの下のリンパ節などを確認します。

②画像検査(マンモグラフィ/超音波)

  • マンモグラフィ(乳房X線)
  • 超音波(エコー)

両者は得意分野が異なるため、組み合わせて判断精度を上げます。ここで「がん確定」ではなく、“疑わしいかどうか”の整理が進みます。

③確定診断(針生検など:組織で確かめる)

  • 針生検などで細胞・組織を採取し、顕微鏡で診断します

画像だけで結論を出さず、最終的には病理(組織)で確定します。

④広がり評価(必要に応じて:MRI/CT/骨シンチ/PETなど)

がんが疑われたり確定した場合、治療選択のために、体内での広がりやリンパ節・他臓器への転移を評価します。これは“怖い検査”ではなく、治療の地図作りです。

ステージ(病期)は「恐怖の数字」ではなく治療を決める情報

乳がんのステージは、乳房内での広がり、リンパ節転移の有無、遠隔転移の有無などで決まります(0期〜IV期など)。ステージは、あなたの治療を合理的に選ぶための共通言語です。

治療の全体像:大きく2つ(局所+全身)

1) 局所治療(乳房と周辺を狙う)

  • 手術(乳房温存術/乳房切除術など)
  • 放射線治療(特に温存術後などで登場しやすい)

2) 全身治療(体全体の再発リスクも含めて考える)

  • 薬物療法(化学療法、ホルモン療法、分子標的治療、免疫療法など)

どの治療が中心になるかは、ステージだけでなく、がんの性質(受容体など)や体の状態によって変わります。

受診前にメモしておくと話が早い(家族にも役立つ)

  • 変化:いつから、どこ、どんな感じ(痛みの有無、増悪など)
  • 分泌:色、量、片側か両側か
  • 月経・更年期との関連(気づける範囲で)
  • 既往歴:乳腺疾患、ホルモン関連治療歴など
  • 家族歴:乳がん/卵巣がんなど
  • 検診歴:直近のマンモグラフィ等

よくある誤解(検索の沼を避ける)

  • 「しこり=がん確定」ではありません(良性のことも多い)。でも確認する価値があります。
  • 「痛くないから大丈夫」とも限りません(痛みの有無だけでは判断できません)。
  • 「検査が怖いから先延ばし」より、検査で整理した方が早く落ち着けます。

まとめ(1分で復習)

  • 自己判定で固定せず、乳腺外来で検査の流れに乗る
  • 基本は視触診→マンモ/エコー→生検(確定)
  • 必要ならMRI/CT等で治療の地図を作る
  • 治療は局所(手術・放射線)+全身(薬物)を組み合わせる

次に読む(予定)

  • 第5回:前立腺がん(PSAで不安になったら読むページ)
  • 第6回:膵がん(なぜ見つけにくい?全体像を整理)


Morningglorysciences teamの編集です。

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この記事を書いた人

大学院修了後、米国トップ研究病院に留学し本格的に治療法・治療薬創出に取り組み、成功体験を得る。その後複数のグローバル製薬会社に在籍し、研究・ビジネス、そしてベンチャー創出投資家を米国ボストン、シリコンバレーを中心にグローバルで活動。アカデミアにて大学院教員の役割も果たす。

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