「膵がんは見つけにくいらしい」「症状がはっきりしないと聞いて怖い」。膵がんは“情報の少なさ・不確かさ”が不安を増幅しやすいテーマです。
この記事は、生活者の方が落ち着いて状況整理できるように、膵がんの症状(なぜ気づきにくいか)/受診の目安/検査の流れ/病期(広がり)と治療の全体像をやさしくまとめます(※一般的な情報であり、診断や治療の代替ではありません)。
新シリーズ がんの不安をほどく:臓器別・基本の全体像
- 第1回:肺がん(公開済み)
- 第2回:大腸がん(公開済み)
- 第3回:胃がん(公開済み)
- 第4回:乳がん(公開済み)
- 第5回:前立腺がん(公開済み)
- 第6回:膵がん(本記事)
まず結論:膵がんが心配なときの整理は「3つ」
- 症状が曖昧でも珍しくない(初期は症状が出にくいことがある)
- “黄疸”などのサインは早めに評価(迷ったら医療機関へ)
- 検査は段階的に“地図を作る”(エコー→CT/MRI→必要ならEUS/生検など)
膵がんは小さいうちは症状が出にくいことがあり、発見が簡単ではないとされています。一方で、症状があっても膵がん以外の原因で起こることも多いので、自己判断で結論を固定せず検査で整理することが近道です。
なぜ膵がんは見つけにくい?(不安の正体を言語化)
- 膵臓は体の奥にあり、初期ははっきりした症状が出にくい
- 出てくる症状が、胃腸の不調などよくある症状と重なる
- 「何科に行けばいいか」が分かりにくく、受診が遅れやすい
ここを理解すると、「怖いから検索」ではなく、「次の一手(受診と検査)」に移りやすくなります。
膵がんでみられることがある症状(ただし“膵がんだけ”ではない)
膵がんが進行してくると、腹痛、食欲不振、腹部膨満感、黄疸、背中の痛みなどが起こり得ます。また、急に糖尿病が発症したり悪化したりすることが、発見のきっかけになる場合があります。
よく話題になる症状例
- 上腹部の痛み、背中(腰背部)の痛み
- 食欲低下、体重減少
- だるさ
- 黄疸(皮膚や白目が黄色い)、尿が濃い、便が白っぽい
- 新規の糖尿病、または糖尿病の急な悪化
早めの受診が望ましいサイン(迷ったら医療機関へ)
- 黄疸(皮膚・白目が黄色い)
- 原因がはっきりしない体重減少が続く
- 上腹部痛や背部痛が続く、悪化する
- 糖尿病が急に発症/悪化した
最初の受診先:どこに行けばいい?
- まずは内科でもOK(症状の整理と初期検査の相談)
- 黄疸や肝胆膵の疑いが強い場合:消化器内科がスムーズ
「何科か分からない」ことで止まるのが一番もったいないので、まず相談して検査の優先順位を決めるのが合理的です。
検査の流れ(全体像):段階的に“確からしさ”を上げる
①入口:血液検査+腹部エコー
- 血液検査(肝機能、膵酵素など)
- 腫瘍マーカー(必要に応じて)
- 腹部超音波(エコー)
ここで「胆道が詰まっていそう」「膵臓周辺が怪しい」など、次の画像検査へ進む材料を集めます。
②中心:CT/MRIで膵臓を詳しく見る
- CT(病変の評価、周囲への広がり、転移の手がかり)
- MRI(必要に応じて補完)
膵がんは、ここで“治療の選択に必要な地図”が作られていきます。
③精密:EUS(超音波内視鏡)+必要ならEUS-FNA(生検)
EUSは内視鏡の先端に超音波プローブが付いた検査で、胃や十二指腸側から膵臓を近距離で観察できます。必要に応じてEUS-FNA(針を刺して組織を採る生検)で確定診断に進みます。
④場合により:ERCP(胆管・膵管の評価、細胞診など)
他の検査で診断が確定しない場合などに、ERCPで膵管や胆管を評価し、細胞を採取する検査が行われることがあります(合併症リスクがあるため、必要性を判断して実施)。
病期(ステージ)=“恐怖の数字”ではなく、治療を選ぶための情報
膵がんは、がんが切除できるかどうか(切除可能/境界切除可能/局所進行/遠隔転移など)で治療方針が大きく変わります。追加の検査は、その判断を正確にするための“地図作り”です。
治療の全体像:4つの柱(状況で組み合わせる)
1) 手術(切除できる場合)
切除できる状態であれば手術が中心になります。膵頭部など部位により手術方法は変わります。
2) 薬物療法(化学療法など)
手術の前後に行う場合、切除できない場合の中心治療になる場合など、病期により役割が変わります。
3) 放射線治療(必要に応じて)
病期や治療目的に応じて、薬物療法と組み合わせるなどの形で検討されます。
4) 緩和ケア(“最初から”生活を支える柱)
痛み、食事、体重、睡眠、不安など、生活の質に直結する課題を早い段階から扱うことは合理的です。緩和ケアは「何もできない時」だけのものではありません。
受診前にメモしておくと話が早い(家族にも役立つ)
- 症状:いつから、どの部位が、どんな時に増えるか
- 体重:いつからどれくらい減ったか
- 便・尿:色の変化(白っぽい便、濃い尿など)
- 糖尿病:新規発症/悪化の時期
- 検査歴:健診や血液検査の結果があれば持参
よくある誤解(検索の沼を避ける)
- 「症状が曖昧=何もできない」ではありません。検査は段階的に組み立てられます。
- 「腫瘍マーカーで分かる」は誤解になりがち。入口の参考情報であり、確定は別です。
- 「怖いから先延ばし」より、まず受診して“次の一手”を決める方が早く落ち着けます。
まとめ(1分で復習)
- 膵がんは初期症状が出にくいことがあるが、疑ったら検査で整理
- 基本は血液+エコー→CT/MRI→必要ならEUS/生検
- 病期は「恐怖の数字」ではなく、治療選択の情報
- 治療は手術・薬物・放射線・緩和ケアを組み合わせる
次に読む(予定)
- 第7回:卵巣がん:症状がはっきりしない時に、何を確認すればよい?
- 第8回:脳腫瘍:頭痛やけいれんが心配なときの受診の目安
Morningglorysciences teamの編集です。


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