新シリーズ がんの不安をほどく:臓器別・基本の全体像 第6回:膵がん:なぜ見つけにくい?症状・検査・治療の全体像を整理

「膵がんは見つけにくいらしい」「症状がはっきりしないと聞いて怖い」。膵がんは“情報の少なさ・不確かさ”が不安を増幅しやすいテーマです。

この記事は、生活者の方が落ち着いて状況整理できるように、膵がんの症状(なぜ気づきにくいか)/受診の目安/検査の流れ/病期(広がり)と治療の全体像をやさしくまとめます(※一般的な情報であり、診断や治療の代替ではありません)。

新シリーズ がんの不安をほどく:臓器別・基本の全体像

目次

まず結論:膵がんが心配なときの整理は「3つ」

  • 症状が曖昧でも珍しくない(初期は症状が出にくいことがある)
  • “黄疸”などのサインは早めに評価(迷ったら医療機関へ)
  • 検査は段階的に“地図を作る”(エコー→CT/MRI→必要ならEUS/生検など)

膵がんは小さいうちは症状が出にくいことがあり、発見が簡単ではないとされています。一方で、症状があっても膵がん以外の原因で起こることも多いので、自己判断で結論を固定せず検査で整理することが近道です。

なぜ膵がんは見つけにくい?(不安の正体を言語化)

  • 膵臓は体の奥にあり、初期ははっきりした症状が出にくい
  • 出てくる症状が、胃腸の不調などよくある症状と重なる
  • 「何科に行けばいいか」が分かりにくく、受診が遅れやすい

ここを理解すると、「怖いから検索」ではなく、「次の一手(受診と検査)」に移りやすくなります。

膵がんでみられることがある症状(ただし“膵がんだけ”ではない)

膵がんが進行してくると、腹痛、食欲不振、腹部膨満感、黄疸、背中の痛みなどが起こり得ます。また、急に糖尿病が発症したり悪化したりすることが、発見のきっかけになる場合があります。

よく話題になる症状例

  • 上腹部の痛み、背中(腰背部)の痛み
  • 食欲低下、体重減少
  • だるさ
  • 黄疸(皮膚や白目が黄色い)、尿が濃い、便が白っぽい
  • 新規の糖尿病、または糖尿病の急な悪化

早めの受診が望ましいサイン(迷ったら医療機関へ)

  • 黄疸(皮膚・白目が黄色い)
  • 原因がはっきりしない体重減少が続く
  • 上腹部痛や背部痛が続く、悪化する
  • 糖尿病が急に発症/悪化した

最初の受診先:どこに行けばいい?

  • まずは内科でもOK(症状の整理と初期検査の相談)
  • 黄疸や肝胆膵の疑いが強い場合:消化器内科がスムーズ

「何科か分からない」ことで止まるのが一番もったいないので、まず相談して検査の優先順位を決めるのが合理的です。

検査の流れ(全体像):段階的に“確からしさ”を上げる

①入口:血液検査+腹部エコー

  • 血液検査(肝機能、膵酵素など)
  • 腫瘍マーカー(必要に応じて)
  • 腹部超音波(エコー)

ここで「胆道が詰まっていそう」「膵臓周辺が怪しい」など、次の画像検査へ進む材料を集めます。

②中心:CT/MRIで膵臓を詳しく見る

  • CT(病変の評価、周囲への広がり、転移の手がかり)
  • MRI(必要に応じて補完)

膵がんは、ここで“治療の選択に必要な地図”が作られていきます。

③精密:EUS(超音波内視鏡)+必要ならEUS-FNA(生検)

EUSは内視鏡の先端に超音波プローブが付いた検査で、胃や十二指腸側から膵臓を近距離で観察できます。必要に応じてEUS-FNA(針を刺して組織を採る生検)で確定診断に進みます。

④場合により:ERCP(胆管・膵管の評価、細胞診など)

他の検査で診断が確定しない場合などに、ERCPで膵管や胆管を評価し、細胞を採取する検査が行われることがあります(合併症リスクがあるため、必要性を判断して実施)。

病期(ステージ)=“恐怖の数字”ではなく、治療を選ぶための情報

膵がんは、がんが切除できるかどうか(切除可能/境界切除可能/局所進行/遠隔転移など)で治療方針が大きく変わります。追加の検査は、その判断を正確にするための“地図作り”です。

治療の全体像:4つの柱(状況で組み合わせる)

1) 手術(切除できる場合)

切除できる状態であれば手術が中心になります。膵頭部など部位により手術方法は変わります。

2) 薬物療法(化学療法など)

手術の前後に行う場合、切除できない場合の中心治療になる場合など、病期により役割が変わります。

3) 放射線治療(必要に応じて)

病期や治療目的に応じて、薬物療法と組み合わせるなどの形で検討されます。

4) 緩和ケア(“最初から”生活を支える柱)

痛み、食事、体重、睡眠、不安など、生活の質に直結する課題を早い段階から扱うことは合理的です。緩和ケアは「何もできない時」だけのものではありません。

受診前にメモしておくと話が早い(家族にも役立つ)

  • 症状:いつから、どの部位が、どんな時に増えるか
  • 体重:いつからどれくらい減ったか
  • 便・尿:色の変化(白っぽい便、濃い尿など)
  • 糖尿病:新規発症/悪化の時期
  • 検査歴:健診や血液検査の結果があれば持参

よくある誤解(検索の沼を避ける)

  • 「症状が曖昧=何もできない」ではありません。検査は段階的に組み立てられます。
  • 「腫瘍マーカーで分かる」は誤解になりがち。入口の参考情報であり、確定は別です。
  • 「怖いから先延ばし」より、まず受診して“次の一手”を決める方が早く落ち着けます。

まとめ(1分で復習)

  • 膵がんは初期症状が出にくいことがあるが、疑ったら検査で整理
  • 基本は血液+エコー→CT/MRI→必要ならEUS/生検
  • 病期は「恐怖の数字」ではなく、治療選択の情報
  • 治療は手術・薬物・放射線・緩和ケアを組み合わせる

次に読む(予定)

  • 第7回:卵巣がん:症状がはっきりしない時に、何を確認すればよい?
  • 第8回:脳腫瘍:頭痛やけいれんが心配なときの受診の目安


Morningglorysciences teamの編集です。

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この記事を書いた人

大学院修了後、米国トップ研究病院に留学し本格的に治療法・治療薬創出に取り組み、成功体験を得る。その後複数のグローバル製薬会社に在籍し、研究・ビジネス、そしてベンチャー創出投資家を米国ボストン、シリコンバレーを中心にグローバルで活動。アカデミアにて大学院教員の役割も果たす。

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