シリーズ:がんの不安をほどく:はじめの1冊
医療知識がなくても、家族のために「今なにを確認すればいいか」を落ち着いて整理できるシリーズです。
「もしかして、がんかもしれない」──そんなふうに頭をよぎった瞬間、人はだれでも不安になります。けれど同時に、焦って検索を続けるほど、怖い情報ばかりが目に入り、余計に眠れなくなることも多いはずです。
この記事では、がんを疑う・心配になるきっかけがあったときに、いったん落ち着いて状況を整理し、次の行動につなげるための「最初の3つ」をまとめます。医療知識がなくても大丈夫です。家族のために調べている方にも役立つように書きました。
この記事でわかること(先に結論)
- ① まず確認する3つ:「症状の記録」「受診の優先度」「相談先の選び方」
- ② 焦りを減らすコツ:検索で不安を増やす前に、見るべき情報の順番を決める
- ③ 次に取る行動:受診時に役立つ質問リスト(そのまま使える)
まず落ち着くために:最初にやる“たった1つ”
最初におすすめしたいのは、検索を続けることではなく、「今ある情報を紙(メモ)に一度出す」ことです。これは気休めではなく、医療機関で相談するときにも役立ちます。
メモに書くのは、次の3点だけで十分です。
- いつから(例:2週間前から、昨日から)
- 何が(例:咳、血便、しこり、体重減少、食欲低下、痛み など)
- どのくらい(例:毎日/時々、強くなっている/変わらない)
「いつから」「何が」「どのくらい」を書けるだけで、頭の中が少し整理され、受診時も話が早くなります。
確認したい3つのこと①:症状を“記録”して、事実と不安を分ける
がんが心配なとき、多くの人が「症状=がん」と短絡しがちですが、現実には、がん以外の理由で起きる症状もたくさんあります。ここで大事なのは、がんかどうかを自分で決めることではなく、医師に伝えられる“事実”を揃えることです。
生活者のための記録テンプレ(コピペ可)
- 症状:______________
- 開始時期:____________
- 頻度:毎日/週に数回/たまに
- 変化:良くなっている/変わらない/悪化している
- きっかけ:食事/運動/ストレス/不明
- 付随症状:発熱/だるさ/体重減少/痛み/出血 など
- 既往歴・持病:__________
- 服薬中:_____________
ここまで書けると、受診時のコミュニケーションが格段にスムーズになります。
確認したい3つのこと②:受診の優先度(“今日行くべき”サイン)
「どの程度急ぐべきか」が分かるだけで、不安は一気に下がります。ここでは、一般的に早めに医療機関へ相談したほうがよいとされるサインを挙げます(症状がある=必ず重大という意味ではありません)。
できれば早めに相談したい(数日〜1週間以内を目安)
- 原因がはっきりしない体重減少が続く
- 強いだるさが続き、生活に支障が出る
- 血便や黒っぽい便、血が混じるなど「出血」を疑う所見がある
- しこりがある、またはしこりが大きくなっている
- 痛みが増悪して持続する
その日のうちに相談も検討(迷う場合は電話相談でも)
- 大量の出血が疑われる、ふらつきが強い
- 息苦しさが強い、意識が遠のく
- 激しい痛みが急に出た
ここでのポイントは、「がんかどうか」ではなく、体が出している“危険度のサイン”に応じて受診を選ぶことです。迷う場合は、かかりつけ医や地域の相談窓口、医療機関の電話窓口に相談するのも一つの方法です。
確認したい3つのこと③:相談先の選び方(最初はどこに行けばいい?)
初動でつまずきやすいのが「何科に行けばいいの?」問題です。結論から言うと、多くの場合は最初はかかりつけ医(内科)で問題ありません。必要があれば、適切な検査や専門科へ紹介されます。
最初の相談先:迷ったらこの順
- かかりつけ医/内科(全体の整理と入り口として最適)
- 症状がはっきりしている場合:該当する科(例:乳房のしこり→乳腺外科、血便→消化器内科 など)
- 健診で指摘された場合:健診結果に書かれた「受診勧奨先」に従う
「最初から最強の病院に行かないといけない」と思う必要はありません。むしろ最初は、状況を整理し、必要な検査への導線を作ることが大切です。
“検索の沼”に入らないためのルール(不安を増やさない)
- ルール1:「症状名+がん」で延々と検索しない
- ルール2: 先に「受診の目安」「検査の流れ」を調べる
- ルール3: 情報は“今の自分に必要な分だけ”に区切る(時間を決める)
受診で役立つ「質問リスト」(家族にも使える)
- いまの症状から考えて、まず疑うべき原因は何ですか?
- 今日の段階で、緊急性は高いですか?(どの程度急ぐべき?)
- まず受けるべき検査は何ですか?(血液、画像、内視鏡など)
- 検査で分かること/分からないことは何ですか?
- 結果が出るまでの間、注意すべき症状はありますか?
- 生活上、避けた方がよいことはありますか?
- 必要なら、どの専門科(病院)に紹介されますか?
- 次回はいつ、どんな目的で来院すればよいですか?
よくある誤解:がんの不安で“やりがちなこと”
- 誤解1:「怖い=すぐがん」ではありません。
- 誤解2:「最初から専門病院に行かないと手遅れ」ではありません。
- 誤解3:「ネットの体験談=自分の未来」ではありません。
まとめ
- まず「いつから/何が/どのくらい」をメモして、事実を整理する。
- “がんかどうか”を当てに行くより、受診の優先度と相談先を決めて次の一歩へ。
- 受診では質問リストを使い、検査の流れと緊急性を確認して不安を整理する。
次に読む(同シリーズ)
次に読む1本:がんと診断を受けた時:最初の1週間でやること・やらないこと(家族のための質問リスト)
今後の掲載予定(同シリーズ)
- 次回:がんと診断を受けた時(最初の1週間の動き方)
- 今後:転移って何?(ステージとの違いと治療の変化)
- 今後:良性腫瘍と悪性腫瘍(名前に振り回されない整理)
- 今後:遺伝子変異/発がんリスク/希少がん/“最新治療”ニュースの読み方
※リクエストが多いテーマは前後することがあります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状がある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。緊急性が高いと感じるときは、地域の救急相談窓口や医療機関へ連絡してください。
Morningglorysciences teamの編集です。


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