シリーズ:がんの不安をほどく:はじめの1冊
医療知識がなくても、家族のために「今なにを確認すればいいか」を落ち着いて整理できるシリーズです。
「遺伝子に変異があります」「遺伝子検査をしましょう」と言われると、生活者としては“運命が決まる”ように感じてしまうことがあります。でも実際の遺伝子の話は、もっと整理して捉えられます。この記事では、遺伝子変異と発がんリスクを生活者目線で言葉から整理し、検査で「分かること/分からないこと」を落ち着いてまとめます。
この記事でわかること(先に結論)
- ① 遺伝子変異の意味:変異=「壊れている」ではなく、体の設計図の“違い”の一つ
- ② 2種類の遺伝子検査:生まれつき(遺伝性)と、がん細胞だけ(腫瘍)の検査は目的が違う
- ③ 発がんリスクの捉え方:リスクは確率であり、未来の確定ではない
まず落ち着くために:最初に確認したい“たった1つ”
最初に確認したいのは、「どの遺伝子検査の話か」です。遺伝子検査には大きく2系統あり、目的も意味も違います。ここを取り違えると不安が増えやすくなります。
確認メモ(短くてOK)
- 検査の種類:生まれつき(遺伝性)/がん細胞(腫瘍)/不明
- 検査の目的:体質・家族リスク/治療選択(薬が効くか等)/不明
- 誰の検体:血液・唾液/腫瘍組織/不明
遺伝子変異って何?(生活者のための言葉の整理)
遺伝子は体の設計図のようなものですが、設計図には人それぞれ“違い”があります。その違いの一部を「変異」と呼ぶことがあります。大切なのは、変異という言葉だけで「危険」「確定」と受け取らないことです。
よくある誤解
- 誤解:変異がある=必ずがんになる
- 現実:変異には“意味が分からないもの”も多く、リスクは確率として評価される
遺伝子検査は大きく2つ:意味が違います
(1)生まれつきの遺伝子検査(遺伝性)
血液や唾液などで調べることが多く、「体質としてのリスク(家族にも関係する可能性)」を評価するために行われます。結果を踏まえて、検診(スクリーニング)の頻度を増やしたり、家族に情報共有するか検討したりします。
(2)がん細胞の遺伝子検査(腫瘍遺伝子検査)
腫瘍組織(または血液から腫瘍由来DNAをみる場合も)を調べ、「どの治療が効きやすいか」「適応となる薬があるか」を探す目的が中心です。つまり、生活者にとっては“治療選択を助ける検査”という位置づけになることが多いです。
発がんリスクとは?「確率」と「確定」は別
発がんリスクは「未来がこうなる」と確定するものではなく、確率として捉えるのが基本です。リスクが高いと言われても、予防や検診で早期発見につなげるという“次の行動”があります。
検査で分かること/分からないこと(生活者向けの整理)
分かること(代表例)
- 治療に関係する遺伝子の特徴があるか(薬の選択肢に影響することがある)
- 遺伝性の体質として、家族にも関係し得る情報があるか
- 追加の検診やフォローが推奨されるか(頻度や方法の見直し)
分からないこと(代表例)
- 「いつ」「必ず」発症するか(未来の確定)
- すべての原因(遺伝子以外の要因も大きい)
- 意味がはっきりしない変異(“分からない”という結果が出ることもある)
“検索の沼”に入らないためのルール
- ルール1:遺伝子名をそのまま検索して、断片情報で恐怖を増やさない
- ルール2:まず「検査の種類」「目的」「結果の解釈」を医師に確認する
- ルール3:不安が強い時は、遺伝カウンセリング等の専門相談を検討する
受診で役立つ「質問リスト」(そのまま使える)
- 今回の遺伝子検査は「遺伝性」か「腫瘍」か、どちらですか?
- この検査の目的は何ですか?(治療選択/体質リスク評価/どちらも?)
- 結果が出たら、治療や検診は具体的にどう変わりますか?
- 結果が「分からない(解釈困難)」だった場合は、どう扱いますか?
- 家族に関係する可能性がある結果ですか?共有はどう考えればよいですか?
- 必要なら遺伝カウンセリング等の相談先はありますか?
まとめ
- まず確認するのは「どの遺伝子検査か」(遺伝性か腫瘍か)。
- 遺伝子変異は“未来の確定”ではなく、リスクや治療選択を整理する情報。
- 分かること/分からないことを分け、次の行動(検査・治療・検診)につなげる。
次に読む(同シリーズ)
次に読む1本:希少がんって何?情報が少ない時の調べ方と、医師への聞き方
今後の掲載予定(同シリーズ)
- 今後:希少がん(情報が少ない時の調べ方と相談のコツ)
- 今後:“最新治療”ニュースの読み方(生活に関係する情報だけ拾う)
※リクエストが多いテーマは前後することがあります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の状況により最適な対応は異なります。強い不安がある場合や判断に迷う場合は、医療機関や専門相談(遺伝カウンセリング等)をご相談ください。
Morningglorysciences teamの編集です。


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