2025年11月6日、米国食品医薬品局(FDA)は、Darzalex Faspro(ダラツムマブ+ヒアルロニダーゼ、Janssen Biotech社)を高リスク型Smoldering Multiple Myeloma(SMM:無症候性多発性骨髄腫)に対して承認しました。これにより、SMMという「前がん段階」にある患者に対する初の治療オプションが拡大します。
臨床試験 AQUILA試験(NCT03301220)の概要
本承認は、AQUILA試験(オープンラベル、ランダム化比較試験)に基づいています。本試験では、390名の高リスクSMM患者が対象となり、Darzalex Faspro単剤療法群とアクティブモニタリング群が比較されました。
治療群では、1,800mg/30,000 units(ダラツムマブ+ヒアルロニダーゼ)を皮下投与。週1回×8週、その後2週ごと×16週、以降は4週ごとに最大36ヶ月投与されました。
有効性:進行抑制効果(PFSの延長)
主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は、治療群で中央値未到達、対照群で41.5か月。独立審査委員会による解析では、ハザード比0.49(95% CI: 0.36–0.67, p<0.0001)と有意なリスク低下を示しました。
安全性・警告事項
Darzalex Fasproの添付文書には、過敏反応、心毒性(アミロイドーシス併発例)、感染症、好中球減少症、血小板減少症、胎児毒性、および輸血検査干渉への注意が明記されています。
承認の意義と今後の展望
Smoldering Multiple Myelomaは、症候性骨髄腫への進行リスクが高い一群であり、これまで治療介入の基準が曖昧でした。本承認により、「早期免疫療法介入」という新しいパラダイムが現実化。今後、疾患進行を防ぐ治療戦略として臨床実装が期待されます。
この記事はMorningglorysciences編集部によって制作されました。

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