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🧒 はじめに:なぜ小児・希少疾患が注目されるのか?
小児希少疾患は、患者数が少なく、治療法が限られているにもかかわらず、命に関わる重篤な疾患が多く存在します。
そのような背景の中で、アメリカでは2012年に「Rare Pediatric Disease Priority Review Voucher(PRV)」制度が導入され、イノベーションを後押ししてきました。
🇺🇸 PRV制度の概要と特徴
PRVはFDA承認時に付与され、他の薬剤の審査を6ヶ月に短縮できるバウチャーです。
譲渡・売却も可能で、1枚あたり最大3.5億ドルの価値がついた例もあり、開発リスクの高い小児希少疾患領域におけるベンチャー企業への強力な資金源となりました。
✅ 制度の成果と実績
– 53件のバウチャー発行、39疾患に適用
– 過去4年間に半数以上のバウチャーが集中し、影響力が加速
– SMA(スピンラザ)、バッテン病、鎌状赤血球症などに貢献
❌ なぜ制度は終了したのか?
– 2024年9月30日、サンセット条項により自動失効
– 延長法案は提出されていたが、議会の優先度が他政策に向いていた
– 「恩恵は大手企業ばかり」「転売目的化」といった批判が議論を複雑に
🔄 現在の再承認の動きと代替策
– 売却価格の上限設定や対象企業制限の議論が進行中
– 補助金、税優遇、EMAとの制度調和などが代替案として検討中
– 超党派の支持と患者団体のロビー活動が継続中
📝 次回予告
第2回では、日本の希少・小児疾患政策の現状と米国との比較を詳しく解説します。