Morning Glory Sciences– Author –
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News Watch:EV × 神経系 × がん免疫の最前線――腫瘍由来sEVが感覚神経を再プログラムし、免疫抑制を駆動する(IL-6/IL-6R軸と適応拡大の可能性まで)後編
IL-6R阻害薬と企業マップ(2025年8月時点) 本稿のIL-6/IL-6R軸に関する考察を踏まえ、「誰がIL-6R阻害薬を保有し、何に使われているか」を整理します。将来的な適応拡大/腫瘍免疫との併用を想定するうえで、パートナー候補や**供給力(原薬・製剤・皮下... -
転写因子とDNA修復の衝突:突然変異とNeoantigen創生が切り拓くがん免疫療法の新戦略
イントロダクション:転写因子とDNA修復の新たな関係 近年のがん研究では、DNAの複製エラーや修復機構の破綻が腫瘍発生の中心的な要因であることが明らかにされてきました。これまでの研究は、DNA複製エラーを修復する「ミスマッチ修復(MMR)」が、がん抑... -
News Watch:EV × 神経系 × がん免疫の最前線――腫瘍由来sEVが感覚神経を再プログラムし、免疫抑制を駆動する(IL-6/IL-6R軸と適応拡大の可能性まで)前編
腫瘍が放出する小型エクソソーム/小胞(small extracellular vesicles; sEV)がTRPV1陽性の痛覚感受性ニューロン(nociceptor)を腫瘍へ呼び込み、IL-6やSubstance Pなどの分泌プロファイルを変化させ、MDSCの動員↑/CD8 T細胞の疲弊↑という免疫抑制ループ... -
膵臓がん治療の新しい挑戦 ― 「Two Shots on Goal」が拓く未来
序章:難治がん・膵臓がんの壁 膵臓がん(膵管腺がん, PDAC)は、がん研究の中でも最も手ごわい対象とされています。5年生存率はわずか約10%。多くの患者において診断時には進行しており、外科手術や化学療法を行っても根治は難しいのが現実です。その背景... -
KRAS変異膵癌に対するがんワクチンの最前線 ― 総集編まとめと未来展望
3部作+総集編 第1部:KRAS変異PDACの生物学的背景とワクチン治療の理論的基盤 第2部:RNAワクチンとAMPLIFY-201試験にみる臨床的進展 第3部:CAR-T統合戦略と次世代ワクチンデザインの展望 総集編のはじめに 膵管腺癌(PDAC)は世界で最も予後不良のがん... -
KRAS変異膵癌に対するがんワクチン最前線 ― 免疫療法抵抗性を超えて③
3部作 小タイトル 第1部:KRAS変異PDACの生物学的背景とワクチン治療の理論的基盤 第2部:RNAワクチンとAMPLIFY-201試験にみる臨床的進展 第3部:CAR-T統合戦略と次世代ワクチンデザインの展望 第3部:CAR-T統合戦略と次世代ワクチンデザインの展望 CAR-T... -
KRAS変異膵癌に対するがんワクチン最前線 ― 免疫療法抵抗性を超えて②
3部作 第1部:KRAS変異PDACの生物学的背景とワクチン治療の理論的基盤 第2部:RNAワクチンとAMPLIFY-201試験にみる臨床的進展 第3部:CAR-T統合戦略と次世代ワクチンデザインの展望 第2部:RNAワクチンとAMPLIFY-201試験にみる臨床的進展 個別化RNAワクチ... -
KRAS変異膵癌に対するがんワクチン最前線 ― 免疫療法抵抗性を超えて①
3部作 第1部:KRAS変異PDACの生物学的背景とワクチン治療の理論的基盤 第2部:RNAワクチンとAMPLIFY-201試験にみる臨床的進展 第3部:CAR-T統合戦略と次世代ワクチンデザインの展望 第1部:KRAS変異PDACの生物学的背景とワクチン治療の理論的基盤 KRAS変異... -
夏休み入門シリーズ総まとめ編 後編|二重特異性抗体薬を含めた次世代モダリティの全貌
本記事はMorningglorysciences 夏休み入門シリーズ総まとめ編の後編です。前編では「肥満薬」「ADC」「In vivo CAR-T」という三つのモダリティを振り返り、その比較と共通課題を整理しました。本稿では、そこに二重特異性抗体薬(bispecific antibodies; B... -
RNAは治療標的になるか? ― 科学と産業の最前線から考える
ここ数年、「RNAは治療標的になり得るのか?」という問いが生命科学と創薬の世界で熱く議論されています。これまで薬の主な標的はタンパク質でした。しかし、ゲノム研究の進展やRNAワクチンの成功を背景に、RNAそのものを直接狙うアプローチが脚光を浴びて... -
最新科学ニュース: がん・肥満・老化の交点 ― 体重減少がもたらす免疫回復の新知見
最新の研究によって、老化と肥満がそれぞれ独立に、そして相乗的にがん進行を促進することが示されました。一方で、体重減少が免疫環境を回復させ、腫瘍の進行を抑制できる可能性も浮かび上がっています。本記事では、この論文を軸に、がん・肥満・老化の... -
【速報】Viking Therapeuticsの肥満薬試験で株価急落 ― 医薬業界における位置づけとバイオ株の浮き沈み
2025年8月19日、米国のバイオテック企業Viking Therapeuticsが開発中の経口肥満薬「VK2735」に関する第2相試験結果を発表しました。最大12.2%という体重減少効果が示された一方で、副作用による中断率の高さが市場で懸念され、株価は一時50%近く急落しま... -
夏休み入門シリーズ総まとめ編 前編|肥満薬・ADC・In vivo CAR-T──入門から中級への架け橋
本記事は、Morningglorysciences 夏休み入門シリーズの総括編・前編です。これまでに取り上げた「肥満薬」「抗体薬物複合体(ADC)」「In vivo CAR-T」の三つの領域を振り返り、横断的に比較しながら、その共通課題や学びを整理していきます。 この総まと... -
夏休み入門シリーズまとめ編|In vivo CAR-Tの進化と展望──細胞療法の新たな地平
本記事は、Morningglorysciences 夏休み入門シリーズの総まとめ編として「In vivo CAR-T(キメラ抗原受容体T細胞療法)」を取り上げます。これまでの記事では、CAR-Tの基礎、主要研究者と企業、技術的課題、そして提携戦略まで幅広く解説してきました。本... -
夏休み入門シリーズまとめ編|抗体薬物複合体(ADC)の進化と未来──標的療法の新たな地平
本記事は、Morningglorysciences 夏休み入門シリーズの総まとめ編として「抗体薬物複合体(ADC)」を取り上げます。これまでのシリーズ記事では、ADCの基礎、構造設計、歴史的改良、臨床応用の事例を紹介してきました。本まとめ記事では、その全体像を振り... -
夏休み入門シリーズまとめ編|肥満薬の進化と未来──GLP-1から次世代薬まで
本記事は、Morningglorysciences 夏休み入門シリーズの総まとめ編としてお届けする「肥満薬」に関する総括記事です。これまで数回にわたり、肥満薬の歴史、最新の臨床試験、そして社会的な意味について解説してきました。本まとめでは、シリーズで扱った内... -
【2025年8月最新】肥満薬開発競争の最前線:Lilly失速と台頭する次世代バイオテック、大手製薬参入戦略とChugaiの動き
はじめに 2025年8月現在、肥満治療薬の開発・販売競争は、Eli LillyとNovo Nordiskの二強時代が続く一方で、業績変動や新規参入バイオベンチャー、大手製薬の本格参入によって勢力図が大きく変わりつつあります。本記事では、最新ニュース、株価動向、主要... -
p53–MDM2軸が守る血液脳関門(BBB)と血液網膜関門(BRB):老化・遺伝的脆弱性・がん脳転移リスクまで徹底解説
はじめに 脳や網膜を守る血液–脳関門(BBB)および血液–網膜関門(BRB)は、神経系の恒常性を保つために欠かせない重要な構造です。これらの関門は、外部からの有害物質や免疫細胞の侵入を制限しつつ、必要な栄養やホルモンを選択的に通過させるという精密... -
タンパク質は「もっと安定」だった:メガスケール実験と解釈可能モデルが更新する設計ルール
構造が分かっても折り畳み安定性(ΔG)は見えにくい——この古いギャップが、メガスケール実験と「加法的エネルギーモデル+疎な二体結合」の再検証で急速に埋まりつつあります。本稿は、最新の実験・理論を学生〜研究者レベルでやさしく接続し、ドラッグデ... -
初心者向け|二重特異抗体の技術発展と歴史的改良の歩み(第6回)
二重特異抗体薬(Bispecific Antibody, BsAb)は、近年の創薬分野において最も注目されるモダリティの一つです。これまでのシリーズ第1〜5回では、基礎構造、設計の多様性、標的選択の戦略、モダリティ別薬理特性の違い、そして最新の開発・承認状況につい...