Morning Glory Sciences– Author –
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なぜ遺伝子・細胞治療はFDAで“止まる”のか──2024〜2025年の不承認(CRL)・遅延事例から読む「品質・製造」の真実
2025年7月、FDAは過去のCRL(Complete Response Letter:不承認通知)の公開を開始しました。公開情報・一次報道・企業開示を突き合わせると、CMC(品質・製造・試験)とプレライセンス査察(PLI)が主要因である一方、有効性証拠や試験デザインが問われた... -
初心者向け|二重特異抗体薬シリーズ 第5回:最新開発動向と過去1年の承認ラッシュまとめ
本シリーズ最終回では、世界のバイオテック・製薬企業が開発を進める最新の二重特異抗体薬の状況と、ここ1年を中心にFDA/欧州で承認された新規薬剤を総まとめします。開発トレンドや注目の企業・提携なども併せて紹介します。 1. 過去1年の主要な新規承認... -
初心者向け|二重特異抗体薬 第4回モダリティの違いによる薬理特性の違い
同じ「二重特異抗体薬」であっても、その構造様式(モダリティ)により、体内での安定性や分布、作用の仕方が大きく異なります。本記事では、IgG型・非IgG型・融合タンパク質型などのモダリティの違いによって生じる薬理特性の違いを、初心者にもわかりや... -
がん治療薬ニュース速報:FDAがZongertinib(Hernexeos)に迅速承認を付与
2025年8月8日、米国食品医薬品局(FDA)は、HER2(ERBB2)チロシンキナーゼドメイン(TKD)活性化変異を有する切除不能または転移性の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、Boehringer Ingelheim社のZongertinib(製品名:Hernexeos)に迅速承... -
がん治療薬ニュース速報:H3 K27M変異型びまん性正中神経膠腫に対する初の全身療法、ドルダビプロン(Modeyso)がFDA迅速承認
2025年8月6日、米国食品医薬品局(FDA)は、H3 K27M変異を有する進行性びまん性正中神経膠腫(DMG)に対する新規プロテアーゼ活性化薬「ドルダビプロン(dordaviprone、商品名Modeyso、Jazz Pharmaceuticals社)」を迅速承認しました。本剤は成人および1歳... -
【初心者向け|二重特異抗体薬】第3回:標的の選び方に関する戦略的考察
二重特異抗体薬(BsAb)は、2つの異なる抗原に結合できる構造を持ち、がん免疫療法を中心に次世代の治療薬として急速に注目を集めています。第3回となる今回は、二重特異抗体薬の設計において最も重要な要素の1つである「標的の選定」について、基礎から戦... -
初心者向け|二重特異抗体薬(Bispecific Antibody Drug)とは?第2回:構造設計の比較と治療効果への影響
本記事では、二重特異抗体薬(BsAb)の構造設計における代表的なアプローチと、それぞれの構造がもたらす薬理効果の違いについて解説します。第1回では「二重特異抗体とは何か?」の基礎を紹介しましたが、今回はさらに踏み込んで、モダリティ選択や構造上... -
初心者向け|二重特異抗体薬とは何か?基礎から徹底解説(第1回)
はじめに:なぜ今「二重特異抗体薬」なのか? 近年、がんや自己免疫疾患、感染症などの治療分野で「二重特異抗体薬(BsAb: Bispecific Antibody)」が注目を集めています。これは、1つの抗体分子で2つの異なる標的を同時に認識できる構造を持ち、従来のモ... -
🧬インスリン抵抗性と糖尿病を“個別化分子地図”から読み解く──プロテオーム・ゲノミクスの最前線
「なぜ同じ食事・生活習慣でも糖尿病になる人とならない人がいるのか?」この疑問に対し、最新の科学はプロテオーム(全タンパク質解析)とゲノミクスを使って“分子地図”を描きはじめています。本記事では、Cell誌(2025年7月号)に掲載された画期的な研究... -
【科学と責任】“ヒ素生命”論文、15年越しの撤回——何が起きたのか?
■ はじめに 2025年7月、世界的な科学雑誌『Science』は、2010年に発表された論文「リンの代わりにヒ素を利用して成長する細菌」に対して撤回を決定しました。この論文はかつてNASAが記者会見で発表し、ヒ素を利用する未知の生命体の可能性を示唆したことで... -
【製薬企業・バイオテックニュース】2025年 米国バイオテック業界におけるレイオフ動向分析:不況なのか?次の投資フェーズなのか?
Fierce Biotechがまとめる「Layoff Tracker 2025」から、2025年前半に米国バイオテック企業で発生したレイオフ(人員削減)情報を読み解き、その背景と今後の展望について分析します。 1. 2025年前半に報告された主なレイオフ企業一覧 以下は、2025年にレ... -
初心者向け in vivo CAR-T 特集|第8回
グローバル戦略から読み解く in vivo CAR-T開発の未来 本シリーズでは、最先端のin vivo型CAR-T療法について、初心者にもわかりやすく全体像と最前線の動向を解説してきました。最終回となる今回は、これまで紹介してきた企業や研究機関が、今後どのような... -
初心者向け in vivo CAR-T 特集|第7回
in vivo CAR-Tの未来を担うキーパーソンたち 本シリーズでは、最先端のin vivo型CAR-T療法について、初心者にもわかりやすく全体像を解説しています。第7回となる今回は、この分野を牽引する世界の研究者やスタートアップ創業者たちに焦点を当て、彼らの業... -
【初心者向け In vivo CAR-T 特集 #第6回】in vivo型CAR-Tの課題を解決する技術と今後の展望
in vivo型CAR-T細胞療法は次世代のがん治療として注目を集めていますが、実用化にはまだいくつもの技術的課題が存在します。第6回では、「細胞選択性」「制御性」「安全性設計」といった主要なチャレンジに対する最新技術のアプローチと、in vivo型CAR-Tの... -
【初心者向け In vivo CAR-T 特集 #第5回】臨床試験の最前線と注目企業:開発競争の現在地
これまでの特集では、CAR-Tの基本、in vivo型の特徴、遺伝子導入法や標的抗原、そしてシグナル設計について解説してきました。第5回では、実際に現在進行中の臨床試験と、その先頭を走る注目企業たちに焦点を当てます。科学だけでなく、どの企業が次世代医... -
【初心者向け In vivo CAR-T 特集 #第4回】CAR構造を深掘り:共刺激とシグナル伝達の最前線
In vivo CAR-Tが持続的かつ強力にがんを攻撃するには、「CAR構造」そのものが鍵を握ります。特に、共刺激分子やシグナル伝達ドメインの設計は、治療効果と副作用のバランスに直結します。本記事では、CARの構成要素に焦点をあて、基礎から最新の改良型まで... -
【初心者向け In vivo CAR-T 特集 #第3回】がんだけを狙うために:標的抗原の選定と特異性
「がん細胞だけを狙う」と言われるCAR-T細胞療法ですが、その精度はどのようにして決まるのでしょうか?その鍵を握るのが“標的抗原”の選定です。本記事では、in vivo型CAR-Tの開発において重要な「がん特異性」と「正常組織との識別性」に焦点をあてて、基... -
【初心者向け In vivo CAR-T 特集 #第2回】技術の核心:ナノ粒子・ベクター・mRNAでT細胞を書き換える
前回はCAR-T細胞療法の基本と、象徴的な成功例であるエミリーの回復劇を通じて、その革新性をご紹介しました。今回はさらに一歩踏み込んで、「in vivo型 CAR-T」実現に不可欠な技術要素——ナノ粒子、ウイルスベクター、mRNAデザインなど——について、丁寧に... -
【初心者向け In vivo CAR-T 特集 #第1回】少女エミリーが示した奇跡:CAR-Tとは何か?
がん細胞だけを狙って攻撃する新しい治療法として注目されているCAR-T細胞療法。中でも、生体内で作用する「in vivo型」のCAR-Tが次世代治療として期待されています。本特集では、その最前線に迫る前に、まずCAR-Tの原点と仕組みを丁寧に解説します。感動... -
【おまけ】ADC開発競争の最前線と今後の展望 – エンハーツから見る未来像
抗体薬物複合体(ADC)は、がん治療の中でも近年最も注目を集める分野のひとつです。本シリーズでは、ADCの構造から作用機序、細胞内での挙動まで段階的に解説してきましたが、今回は「おまけ」として、近年のブレークスルー事例と最新の開発競争について...