【FDA発表】CAR-T製品に課されていたREMS制度が2025年6月に撤廃
2025年6月、米国食品医薬品局(FDA)は、自家CAR-T細胞治療製品(autologous CAR-T therapies)に対して課していたリスク評価および緩和戦略(REMS)制度を廃止したと発表しました。これは、承認済みCAR-T製品の市販後の安全性データに基づいて、REMSにより義務づけられていた一部教育プログラムとデータ提出要件を不要と判断したものです。
REMSとは?
REMS(Risk Evaluation and Mitigation Strategies)とは、高リスク医薬品に対し、使用リスクを最小限に抑える目的でFDAが義務づける制度で、教育資料、使用制限、定期報告などが含まれます。これまでCAR-T製品は、サイト教育や訓練を必須としたREMS下での使用が求められていました。
なぜ廃止されたのか?
FDAは、すでに広く使用されている複数のCAR-T細胞製品(例:Yescarta, Kymriahなど)のリアルワールド使用データを精査し、REMSによる追加安全性向上の有用性が限定的であると判断しました。加えて、製造・投与体制が全米で成熟しつつあり、教育制度をREMSに依存せず運用可能と結論づけています。
今後の影響と懸念点
- 医療機関側の教育責任が各社・施設に移行
- 新規治療施設での安全確保体制への注視が必要
- 今後のCAR-Tの対象疾患拡大・自家→他家への展開と規制変化への影響
ひとこと
CAR-Tは医療現場に定着しつつある先端治療ですが、REMSの撤廃は安全性と自律運用のバランスの転換点でもあります。現場側の責任と判断力がより重要になります。特にアメリカでは州ごとに使用可能治療薬が保険との兼ね合いも関与して異なりますからなおさら注視し続ける動向です。
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