2025年6月号のCancer Discovery誌に掲載された最新研究で、がん関連線維芽細胞(CAF)が乳がんの転移形成を促進する新たな免疫抑制メカニズムが明らかとなりました。本研究は同号のSpotlightにも選出されています。
研究チームは、高齢化やBRCA遺伝子変異を有するストローマ細胞がCAFに分化し、NK細胞の細胞傷害活性を抑制する仕組みを解明しました。CAFが発現する特定のリガンドがNK細胞上の抑制性受容体を活性化し、腫瘍細胞殺傷能を低下させることが示されました。これにより、乳がん細胞の転移定着が促進されることがin vivoモデルでも確認されています。
本研究は、乳がん転移におけるストローマ・免疫系相互作用の重要性を示し、新たな治療介入ポイントとしてCAFとNK細胞の軸が浮上しています。
出典:Cancer Discovery (2025年6月), 研究論文リンク / Spotlight: 解説リンク
【ひとこと】
がん微小環境におけるCAFと免疫細胞の複雑な相互作用は、がん治療の新たな標的領域として注目されています。今回のようにNK細胞機能の抑制機構が明確化されたことは、免疫療法の補完戦略としての可能性を広げると感じます。