がん治療薬ニュース速報:FDAがルルビネクテジン+アテゾリズマブ併用を小細胞肺がん維持療法として承認

2025年10月2日、米国食品医薬品局(FDA)は、ルルビネクテジン(Zepzelca, Jazz Pharmaceuticals)を、アテゾリズマブ(Tecentriq, Genentech)またはアテゾリズマブ+ヒアルロニダーゼ(Tecentriq Hybreza)との併用で、広範期小細胞肺がん(ES-SCLC)の維持療法として承認しました。対象は一次治療(アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド)後に病勢進行を認めない成人患者です。

承認の根拠:IMforte試験

この承認は、多施設共同ランダム化第III相試験 IMforte(NCT05091567) の結果に基づいています。

  • 対象:一次導入療法(アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド4サイクル)後、病勢進行を認めないES-SCLC患者483例
  • 比較群:ルルビネクテジン+アテゾリズマブ vs アテゾリズマブ単独
  • OS中央値:13.2か月 vs 10.6か月(HR 0.73, p=0.0174)
  • PFS中央値:5.4か月 vs 2.1か月(HR 0.54, p<0.0001)

用量と投与方法

  • ルルビネクテジン:3.2 mg/m²を21日ごとに静注
  • アテゾリズマブ:IVで2週ごと840mg、3週ごと1200mg、または4週ごと1680mg
  • アテゾリズマブ+ヒアルロニダーゼ:皮下注1875mg(アテゾ)+30,000単位(ヒアルロニダーゼ)を3週ごと

いずれも病勢進行または許容できない毒性まで継続投与されます。

安全性情報

ルルビネクテジンには骨髄抑制、肝毒性、漏出による壊死、横紋筋融解症、胎児毒性のリスクが含まれます。アテゾリズマブ関連では重篤な免疫関連有害事象、輸注反応、同種移植合併症、胎児毒性などが注意喚起されています。

承認プロセス

本承認はFDAのProject Orbis の枠組みで豪州TGA、Health Canada、イスラエル厚生省、スイスSwissmedicと並行審査されました。また、優先審査オーファンドラッグ指定を受けており、申請はAssessment Aidを用いて行われました。

まとめ

今回の承認により、ES-SCLC患者に新たな維持療法の選択肢が加わりました。OSおよびPFS延長が示されており、今後は実臨床での安全性データの蓄積が期待されます。

この記事はMorningglorysciences編集部によって制作されました。

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この記事を書いた人

大学院修了後、米国トップ研究病院に留学し本格的に治療法・治療薬創出に取り組み、成功体験を得る。その後複数のグローバル製薬会社に在籍し、研究・ビジネス、そしてベンチャー創出投資家を米国ボストン、シリコンバレーを中心にグローバルで活動。アカデミアにて大学院教員の役割も果たす。

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